海外トピックス

2019/8/1

vol.359 世界遺産の街キトの新・旧コントラストがより鮮やかに!空港移転でビルが変わる 【キト市・エクアドル】

 南米エクアドルの首都キト、標高は何と2800m。市の南部に位置する旧市街は、ユネスコ(UNESCO)世界遺産に最初に登録された12件のうちの1つです。世界にも数多くある旧市街ですが、キト旧市街はその保存状態が最も良いと言われている歴史地区で、インカ帝国第2の都市でもありました。400年以上前の建物や雰囲気が今でも残り、実際に訪れてみると、本当にそのノスタルジックな美しさに言葉を失うほど。
 そんな旧市街とは対照的に、ここ2~3年でガラリと街の景色を変えているのが、市の北部に位置する新市街。ひしめき合って低層のビルが立ち並んでいた新市街は、今、20階以上のモダンなビルが建設ラッシュ。その理由は、2013年のキト国際空港移転にありました。

スペイン統治時代にタイムスリップしたかの様な旧市街

ノスタルジックな雰囲気のキト旧市街の通り
今でも昔からの生活が続くキト旧市街

 インカの石組みの基礎に、スペイン様式の建築が施されたまちが美しく残るキト旧市街。ユネスコ世界遺産とあって、新築・増築したりする事が出来ないため、スペイン統治時代の姿が今でもそのまま残っています。そんな建物には今でも人々が暮らし、街は観光客も混じりながらいつも活気に満ちています。が、やはり現代の生活では不便がいっぱい。世界遺産地域から外れた北部に新しい建物が建ち並ぶ新市街が形成されていきます。 

新・旧キト国際空港 バトンタッチで新市街が変わる

郊外に移転したキト空港(マリスカル・スクレ国際空港)

 1960年、キト国際空港(マリスカル・スクレ国際空港)もそんな新市街の中に建設されました。街中にあり、また標高も高いため‶パイロット泣かせの空港″としても有名でした。また、この空港があるために、新市街の建築物には高さ制限が設けられ、大きなビルでもせいぜい10-12階までのビルでした。しかしその制限も2013年のキト国際空港移転(キト中心街から約25km程離れた場所に移転)によりとり除かれ、人口増加で住居の需要が膨らんでいたキト市は、その後爆発したかのように20階以上のビルが建築され続けて行くのです。

狭い土地にニョキニョキと伸びるデザインビル(新市街)

山の斜面にも所狭しと建てられた民家

 山に囲まれ土地が限られているキトの街。旧市街は新築が建てられないため、新市街により高い建物が求められるのは必須です。外国資本もはいり、近年のビルはデザイン・機能的にもモダンでユニーク。旧市街と新市街の景色が更に色濃く違いを見せています。
 エクアドル国外の有名建築事務所や有名建築家がこぞって新しいビルを建築しており、その存在感をアピールするかの様に、どのビルもとってもユニーク。同じ様なビルは1つもありません。

斬新なデザインのマンションも続々登場
高いビルからの屋上の眺めはマンション購入のポイントの1つに

大通りはまるでビルのショーケース

2021年完成予定の32階建てのマンション”IQON(アイコン)”

 2021年にはキトで最も高い32階建てのマンションが建設予定。コンクリートボックスを積み上げた様なデザインで、各部屋からの素敵な景色と屋外テラスを確保するため、それぞれのボックスは垂直な積み上げではなく、角度をつけ配置されるなんともユニークな建物。しかも、根の張った植物をビル全体に植え付けるのだそう。こちらのビルの建築会社が「キトの植物多様性を象徴する建物にしたい。観光地にもなりうるだろう..」というほど…完成が何とも待ち遠しいビル。

 地下鉄も完成間近なキト市。主要駅のある大通りには、ユニークなこだわりのビルがどんどん建設され、さながらビルのファッションショーといったところです。


市川 芽久美 (いちかわ・めぐみ)
日本の大学を卒業後、”旅行”に関係する仕事をやれるだけやってみようと、日本とヨーロッパの旅行会社、航空会社、旅行業界誌、旅行展示会主催団体に勤務。仕事とプライベートで訪れた国は約60カ国。日本人にとって潜在的な魅力がまだまだあると感じた中南米に注目し、2012年に仕事でのご縁があったエクアドルに拠点を移す。首都のキトで旅行会社を経営する傍ら、子育てをしながら南米の魅力を伝える執筆業にも従事。海外書き人クラブ所属。

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