海外トピックス

2021/12/1

vol.387 将来は砂浜が無くなる⁉ 知られざるワイキキのビーチ事情【アメリカ】

観光客でにぎわうワイキキビーチ。ダイヤモンドヘッドと共に、ハワイを象徴する場所だ

 コバルトブルーに輝く海と白砂が美しいワイキキビーチ。日本のテレビ番組や雑誌などでも度々取り上げられるこの風光明媚なビーチは、人工的に作られたものだとご存知ですか? 今回は、知られざるワイキキのビーチ事情についてご紹介しましょう。

30年以上前から続く、
ワイキキの海岸浸食

 カラフルなパラソルがずらっと並ぶワイキキビーチは、世界中から集まった観光客が思い思いに過ごす場所。そんなワイキキでは、1985年頃から続く海岸浸食によって、ビーチの幅がどんどん狭くなってきているのです。

 ビーチの幅が狭くなれば、人々がくつろぐためのスペースも限られてしまいます。ただでさえ観光客で混雑するワイキキビーチでは、ビーチの幅が小さくなれば、利用を断念する観光客も出てくるでしょう。ワイキキビーチだけで年間20億ドルもの収入が生まれていると言われ、観光業を主産業とするハワイ経済にとって、その存在は欠かせません。

 そのため、ハワイ州の土地・天然資源局では、砂をワイキキに運び砂浜部分を補充するプロジェクトを実施しています。2015年にビーチ保全を目的に「ワイキキビーチ特別改善地区協会」が設立、土地・天然資源局と共にワイキキの「サンドプロジェクト」が定期的に行なわれています。

21年には約4億円規模の
大規模プロジェクトも

21年春に行なわれた大規模なサンドプロジェクト

 直近で行なわれたのは、21年5月に完了したプロジェクトです。約3億8,000万円を投資して、1月下旬より4か月近くをかけて、2万2000立方ヤード(約18,000立方メートル)の砂を補充。ビーチの幅を7.6mから15mまで拡大しました。

 ワイキキビーチと同様に海岸浸食が問題になっている世界各地のビーチでは、遠方から砂を運び、拡幅に使用することが多いですが、ワイキキで使われた砂は、同ビーチの沖合およそ300メートルの浅瀬から回収したものを使用しています。リサイクル型のプロジェクトとして、生態系への影響を考慮しつつ、効率的に補充作業を行なっています。

工事中の光景。ワイキキビーチの一部が閉鎖され、大量の砂の山が作られていた

要因は温暖化による海面上昇

海面上昇による浸食が問題となっているワイキキビーチ

 海岸浸食の要因として、地球温暖化による海面上昇が挙げられています。21年にハワイ大学が公表したデータによると、現在、海面上昇はかつてない早さで進んでおり、「今後30年で25cm近く上昇する可能性がある」、とのこと。その場合、ハワイにあるビーチの4割が、海に飲まれてなくなると予測されています。

 現に、先述した21年の大規模プロジェクトの完了から2か月足らずで、季節性の満潮により、再びビーチの幅が狭まってきていると地元ニュースで報じられています。そのため土地・天然資源局では、砂の補充のみならず、海岸浸食の激しい海の浅瀬にテトラポッドを設置するなど、別の対策を検討しているようです。

 ハワイではコロナ禍の影響で、20年に観光業が閉鎖、ぱったりと観光客の姿が消えました。しかし今年春頃から、アメリカ本土からの旅行客が一気に増加し、今ではコロナ禍以前と同様に、ワイキキビーチも観光客でにぎわっています。日本からの観光客も徐々に増えてくるかもしれません。この美しいビーチが人々の力によって守られていると思えば、感慨もひとしおでは?

佐藤 まきこ
ハワイ在住エディター。女性誌のエディターやファッションビルの広告・プロモーションのプランナー、コピーライターとして長年経験を積み、フリーランスのエディター・ライターへ。大手メディア立ち上げや編集に携わる。

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