海外トピックス

2022/4/1

vol.391 急速に進む無人店舗の設置とキャッシュレス化【韓国】

 2年以上に及ぶコロナ禍によって、経済に深刻なダメージを受けている国は多い。ここ韓国でも、店舗の営業制限などにより人出がめっきり減り、コロナ禍以前は多くの人でにぎわっていた観光地や繁華街でも閉店する店舗が多く見られ、その影響を痛感させられる。

 一方で、現在、新たなスタイルの店舗のオープンが相次いでいる。それは、「無人店舗」だ。

高機能の監視システムで盗難を防止

最近、韓国で増加している無人店舗。写真は菓子・飲料等を販売する店舗

 そうした無人店舗は、菓子や飲み物、インスタントラーメン等を売るコンビニエンスストアのほか、アイスクリーム店、惣菜・ミールキット店、さらに日本の駄菓子屋さんと文房具屋さんを融合させたような店舗など、さまざまなタイプがある。こうした店舗は繁華街や住宅街のほか、最近では学校の近くでも見かけるようになっている。

無人型のアイスクリーム店
無人型のアイスクリーム店の店内。商品の盗難防止のため、防犯カメラやセキュリティシステムが設置されている

 無人店舗の多くは24時間稼働だ。コンビニの一部店舗では、日中スタッフが対応し、深夜12時以降から早朝6時までは機械で運営する所も出始めている。防犯の観点から無人運営の時間帯は、玄関横の端末機にクレジットカードを認証してから入店をする仕組みとなっており、会計は店内に設置された端末機(現金も可能)で行なうようになっている。

無人店舗の会計端末機。客が自ら商品バーコードをスキャンして会計を行なう。写真の端末機はクレジットカードと現金決済の両方に対応している

 とはいえ商品の盗難は気になる所だが、店内の四方や会計用の端末機に利用者の顔が認識できる高画質の防犯カメラやセキュリティシステムが設置されているため、かなり被害は抑制できているようだ。

 店舗増加の背景には、人件費が発生しないため少ない資金で開業できるというメリットが挙げられる。

有人店舗では「キオスク」の導入が進む

 またこの2年ほどで、無人店舗でない所でもIT化が進んでいる。それは、「キオスク」というパネルタッチ式の端末機の設置である。「キオスク」と聞くと、日本では真っ先に駅構内の売店を思い浮かべるだろうが、韓国ではパネルタッチ式の端末機のことを指し、ファストフード店やカフェ等の飲食店を中心に設置が進んでいる。

カフェ店頭に設置される「キオスク」と呼ばれる注文・会計用の端末機。この一台でオーダー、会計、商品の受け渡しまでを迅速に行なえる

 この「キオスク」1台あれば、客が自ら注文から決済までを行なえる。また機器を通じて厨房にオーダーが入るためオーダーミスを防げるほか、少ないスタッフで注文・会計処理、商品準備、引き渡しが効率良くできるというメリットがある。

 もとより韓国はカード社会であり、キャッシュレス化がかなり進んでいる。100円単位など少額な会計もカードで済ませることが一般的だ。キャッシュレス決済の普及率は96%と世界でも群を抜いて高い。キャッスレス決済の主な方法は、クレジットカードで、この他にはモバイル決済やTマネーカード(IC型交通カードのこと。加盟店でも利用可能)等もある。

 背景には、政府の施策がある。消費者に向けては、年間のカード決済の総額が年収の4分の1以上である場合に所得控除を適用。店舗へ向けては、年商が日本円で240万円以上の場合はカード決済の導入を義務化している。「キオスク」の導入は、カード社会であるが故の事情ともいえる。

 また韓国では、物価の著しい上昇と共に、人件費も年々増加傾向にある。有人の店舗でも可能な限り業務を効率化し、人件費を削減するために、端末機の導入が進んでいるものと思われる。

 とはいっても、すべての国民がキャッシュレス化に適応できるとは言い難く、高齢者にとっては無人店舗や「キオスク」の利用はハードルが高いのも事実だ。また雇用の減少という問題も起こり得る。急速に進む無人店舗の設置とキャッシュレス化もまだ模索段階であるといえよう。

原 美和子
韓国・釜山在住。2002年に韓国に移住し今年で20年目となる。ライターおよび翻訳家として活動し、韓国旅行、グルメ、芸能、時事問題、ビジネスなど幅広い分野での執筆している。

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