不動産ニュース

2015/1/5

「2015年 年頭挨拶」(業界団体等)

国土交通大臣 太田昭宏氏
(一社)不動産協会理事長 木村惠司氏
(公社)全国宅地建物取引業協会連合会会長 伊藤 博氏
(公社)全日本不動産協会理事長 林 直清氏
(一社)不動産流通経営協会理事長 竹井英久氏
(独)都市再生機構理事長 上西郁夫氏
(独)住宅金融支援機構理事長 宍戸信哉氏
(一社)マンション管理業協会会長 山根弘美氏
(公財)日本賃貸住宅管理協会会長 末永照雄氏
(一社)住宅生産団体連合会長 樋口武男氏
(一社)日本ツーバイフォー建築協会会長 市川俊英氏
(一社)日本ビルヂング協会連合会会長 髙木 茂氏
(一社)不動産証券化協会会長 岩沙弘道氏
(公社)日本不動産鑑定士協会連合会会長 緒方瑞穂氏

(順不動)

■国土交通大臣 太田昭宏氏

 昨年は、8月に広島で甚大な土砂災害が、9月には御嶽山の噴火が発生するなど、多くの自然災害がございました。これらの災害により犠牲となられた方々とそのご家族に対して謹んで哀悼の意を表しますとともに、被害にあわれた方々に心よりお見舞い申し上げます。

 我が国は人口減少や少子化、高齢化の進展、巨大災害の切迫などの課題に直面しており、これらに適切に対応していくためには、中長期的な視点で取り組むことが必要です。

 その際には、昨年7月に公表した「国土のグランドデザイン2050~対流促進型国土の形成~」で掲げた「コンパクト・プラス・ネットワーク」という考え方を、そのベースに据えていかなくてはなりません。この「国土のグランドデザイン2050」を具体化するため、次の3つの長期計画の策定・見直しに取り組んでまいります。

 まずは、「国土形成計画」です。この計画では、「コンパクト・プラス・ネットワーク」により、地域の多様な個性に磨きをかけ、地域間の対流を生み出す「対流促進型国土」を築くとともに、複数の地域間の連携による人・モノ・情報の交流を促進する地域づくりを目指します。今後、幅広く関係者からの御意見を伺いながら、全国計画については夏頃のとりまとめに向け議論を深めてまいります。
 「社会資本整備重点計画」の見直しを進めてまいります。その際には、インフラ老朽化、巨大地震、激甚化する気象災害、人口減少に伴う地方の疲弊、激化する国際競争といった切迫する危機への対応を図ることが重要です。この計画の見直しを通じ、必要となる担い手を確保し、中長期的な見通しを持った計画的な社会資本整備を進めてまいります。
 交通の分野では、一昨年秋の臨時国会で成立した「交通政策基本法」に基づき、昨年「交通政策基本計画」の策定に着手いたしました。この計画には、我が国が直面する課題である、日常生活等に必要な交通手段の確保、国際競争力の強化、大規模災害への対応等について、政府を挙げて長期的な観点から取り組むべき施策を盛り込むこととしており、本年初頭にも決定してまいります。また、同計画を着実に推進することにより、我が国が直面する経済社会面の大きな変化に的確に対応し、将来にわたって国民生活の向上と我が国の発展をしっかりと支えることができる交通体系を構築してまいります。

 政府全体で取り組んでいる「地方の創生」は重要な課題であり、「国土のグランドデザイン2050」で掲げた「コンパクト・プラス・ネットワーク」という考え方を、現場で具体化していく取組を進めてまいります。
過疎地等の集落の中には、人口減少や高齢化に伴って集落の生活機能維持が困難になってきているところもあります。そういった地域において、生活サービスを維持し、効率的に提供するため、買い物や医療等の日常生活を支える機能を、道の駅等を活用しつつ、「小さな拠点」ともいうべきエリアに集約します。これにより、住民の力を発揮することのできる活動拠点とするとともに、デマンド交通、共同宅配などによりその周辺集落とのネットワークの形成を目指します。

 また、コンパクトシティの形成を推進するとともに、地域の公共交通網の再構築を図るため、昨年の通常国会で改正された都市再生特別措置法と地域公共交通活性化再生法を踏まえ、現場でのまちづくりを進めてまいります。

 さらに、人口減少・少子高齢化社会においても、個性をもった都市が交通ネットワークにより連携することにより、一定の圏域人口を維持し、「地域経済のけん引」、「高次の都市機能の強化・集積」及び「生活関連サービスの向上」を担う都市圏の形成を図ることも重要と考えております。今後さらに検討を進め、改定する国土形成計画に位置づけるとともに、関係省庁とも連携し、活力ある経済・生活圏の形成に向けたより効率的な施策を構築してまいります。


■(一社)不動産協会理事長 木村惠司氏

 謹んで新春のお慶びを申し上げます。

 新たな年を迎え、総選挙で慌ただしかった昨年末から一転して、今年は未来に向けて明るい展望を拓く年となるよう期待したいと思います。

 今、我が国の経済が足踏み状態にある中で、この1年が成長を持続することができるかの正念場になると考えています。

 不動産市場について申し上げますと、住宅市場につきましては、マンションの販売状況は引き続き堅調ですが、販売戸数については前年を下回っており、今後も建築費上昇の影響が懸念されます。

 賃貸オフィス市場につきましては、空室率の低下が進んでおり、賃料水準についても上昇の兆しが見えてきたものの、その足取りは重い状況です。企業業績は改善していますので、質の高いオフィスに対する需要に引き続き応えていきたいと考えています。

 そうした中、平成27年度の税制改正について、与党の大綱が決定されました。事業用資産の買換特例の延長、都市再生促進税制の延長、住宅取得資金贈与特例の延長・拡充など当協会の主要な要望が概ね認められ、評価したいと思います。

 また、政府の経済対策も決定され、住宅市場の活性化に向け、フラット35Sの金利引き下げや質の高い住宅に対するポイント制度の創設が打ち出されたことも評価できることです。

 なお、消費税率の引き上げ時期は延期となりましたが、軽減税率は引き上げ時に導入される方向で検討されることになりました。住宅購入者の負担軽減を安定的に確保するために、軽減税率が導入される場合には、住宅取得に軽減税率を適用するよう引き続き要望していきます。

 日本全体の持続的な成長のためには、東京をはじめとする経済効果の高い大都市が国際的な競争力を高め、国全体の経済を牽引していくことが必要であり、我々が中心となって、その実現に向け積極的に貢献していきたいと考えております。また、そのことが地方創生の推進のためにも有効なのです。

 今後の日本社会を展望すると、人口減少社会の到来はすぐそこに来ていますし、少子高齢化やライフスタイルの多様化が進み、今までの都市や住宅に関わる仕組みも適切に変えていくことが必要になっています。本年は東京オリンピック・パラリンピック開催とその先も見据え、我が国社会のあり方を長期的に考えることができる大事な一年になると思います。

 政府においても、国土形成計画の見直しが検討されるとともに、都市再生の推進に大きな役割を果たしてきた都市再生特別措置法が2年後には法律の期限を迎えます。また、今年は住生活基本計画の見直しも行われる予定です。当協会としても、今後の都市再生や良質な住生活の実現等に必要な取り組みについて、未来志向の視点に立って広く検討し、提言していきたいと考えています。

 環境への取組みについては、経団連が2030年の目標を含む実行計画の3策定を進めており、当協会としても業務部門の対策についてさらなる広範な取組みを検討していきたいと思います。

 国際化への対応について、インバウンド観光客が昨年は11月で1,200万人を突破し過去最高となる活況を呈しており、訪日客を迎える環境整備をますます充実していく必要があります。また、アウトバウンドについても会員各社の取組状況を踏まえ、インフラ輸出の推進に適切に対応をしていきたいと考えています。

 不動産業界を取り巻く事業環境は、社会経済の変化に伴い、課題が山積しており、不動産業が一体となって、その克服に取り組み、国民生活の向上と経済の成長に寄与することができるよう、当協会として全力を尽くしてまいりたいと思います。

 皆様の一層のご活躍と、ご健勝をお祈りし、また今年が不動産業界にとってさらなる発展を遂げる一年となることを願って、新年のご挨拶とさせていただきます。


■(公社)全国宅地建物取引業協会連合会会長 伊藤 博氏

 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
 
 昨年は、みなさま方のご支援とご協力により、円滑な組織運営ができましたことを感謝申し上げます。

 全宅連及び全宅保証は、公益社団法人として発足し、3年目を迎え、国民の皆さまの住生活の安定や消費者保護に向け、着実に公益事業を実施しております。

 全宅連では、税制改正要望として、住宅取得時の贈与税の非課税措置や宅地の固定資産税負担調整措置等について要望活動を推進した他、民法改正や重要事項説明等のIT化に向けた対応について、消費者保護や取引の安全性を第一に、消費者目線に立ったあるべき姿を提言してまいります。
 本年4月1日より、『宅地建物取引士』の名称変更が施行されますが、今後、「士業」としてのコンプライアンス、専門的知識の修得が求められることから、新たな倫理規定を制定し遵守すると共に、『不動産キャリアサポート研修制度』の専門科目を充実し、普及を促進し、更なる人「財」育成が図られるよう所要の対応を図ってまいります。

 不動産に関する調査研究活動では、民法の改正動向を踏まえた宅地建物取引のあり方、災害時等における地域貢献活動や地域社会の活性化に係る取り組みに関する研究を行うと共に、不動産データベースと価格査定のあり方に関する調査研究を行っていきます。

 流通関係では、昨年「ハトマークサイト」をリニューアルし、より消費者が物件を検索しやすくすると共に、新機能としてB to Bシステムを追加するなど、今後も一般消費者及び会員に対するより有益な情報提供体制を拡充させていきます。

 全宅保証では、苦情解決相談業務、弁済業務を通じて消費者保護に努め、迅速な処理を行い、紛争の未然防止を図るべく研修会等の実施を通じて、引き続き安心安全な取引をサポートする体制を推進してまいります。
 全宅連が掲げたハトマークグループ・ビジョンについては、昨年、新たな試みとして皆さまにDVD映像等による周知を行いました。今後も、全宅保証、宅建協会、全宅管理、ハトマーク支援機構一丸となって「みんなを笑顔にするために、地域に寄り添い、生活サポートのパートナーになることを目指し」、様々な事業を通じて具体化を図ってまいります。

■(公社)全日本不動産協会理事長 林 直清氏

 不動産業界にとって、平成27年は重要かつ意義深い年となる。
 本年4月1日をもって、宅地建物取引主任者は「宅地建物取引士」へと生まれ変わることにより、今後の不動産業界の更なる発展と不動産業者の社会的地位の向上へとつながるものと信じる。

 その一方で、宅地建物取引のプロとしてコンプライアンスの徹底と「信用失墜行為の禁止」、「知識及び能力の維持向上」といった使命と役割が課せられた。私達は、消費者の期待と信頼に応えていくために、しっかりと自己研鑚に努め「士」にふさわしく技量の向上をはかり法令遵守に努めなければならない。当協会は公益法人として、これまで以上に宅地建物取引士の知識・能力の向上に加え、広く宅地建物取引業に従事する者の資質向上を図る研修に取り組んでいく。

 また、全国組織としての組織基盤の強化を一層図るとともに、昨年同様、会員支援業務の遂行、IT、ホームページの活用についても進めていく。

■(一社)不動産流通経営協会理事長 竹井英久氏

 わが国経済は昨年4月の消費税増税後の景気の停滞が想定以上に長引いており、今まさにデフレ脱却に向けた岐路に立っている。昨年末の衆院解散・総選挙の結果、政府与党での安定基盤が引き続き確保され、経済の好循環の動きを確実なものとすべく成長戦略が加速されるものと期待している。不動産流通業界においても内需拡大の原動力として、経済の好循環実現に寄与していきたい。

 足元の不動産流通市場は、新築マンション市場では原価の高騰による販売価格の上昇等に伴い消費者の購入意欲が低下し厳しい事業環境下にあり、中古住宅流通市場でも、消費者の様子見の姿勢から取引は停滞気味であり、先行きは予断を許さない状況にある。

 このような市場環境のもと、当協会は本年も、中古流通市場活性化に向けて種々の課題に取り組んでいく。

 昨年度新たな課題として着手した『新時代の流通スタンダード』の確立にむけた取組みでは、マンション管理情報の開示に関しては、マンション管理業協会と問題意識を共有化し、同協会において情報開示の手法等について具体的検討が進められ、『管理に関わる重要事項報告作成に関するガイドライン』の改訂がなされた。今後は管理現場への浸透が図られることが期待される。また売買契約書の統一化については、契約書の文言や解釈の現状について論点整理等を行い、今後は各流通団体との協議が中心となるため、東日本流通機構においてワーキンググループが設置され検討が進められることとなった。この2つのテーマについては、本年も重点課題として位置付けていく。

 また、国土交通省における政策の具体化に向けた種々の検討会については、『ITを活用した重要事項説明等のあり方に係わる検討会』『中古住宅市場活性化ラウンドテーブル』『情報ストックシステム検討ワーキング』等の会議に委員として引き続き参画し、実効性ある制度や仕組みとなるよう、不動産流通の第一線の立場として消費者そして実務者の目線から意見具申を行っていく。

 政府は、アベノミクス第3の矢である日本再興戦略の中短期工程表において、中古住宅流通・リフォーム市場規模倍増を成果指標として掲げており、不動産流通業界へ寄せられる期待は大きいものと認識している。当協会としても、内需の柱である不動産業における流通活性化を通じてその期待に応えてまいりたい。


■(独)都市再生機構理事長 上西郁夫氏

 明けましておめでとうございます。平成27年の新春を迎えるに当たり、一言ご挨拶を申し上げます。

 昨年は、機構創立10周年を迎えるとともに、一昨年12月の閣議決定「独立行政法人改革等に関する基本的な方針」を踏まえ、第三期中期計画をスタートするという節目の年でありました。

 また、当機構においては、新たな中期計画の達成に向け、民間連携方策の多様化、住宅セーフティネットとしての役割の充実、東日本大震災の復興事業の一層の推進などの政策的な取組みを精力的に推進してまいりました。

 例えば、賃貸住宅事業においては、23団地で地域医療福祉拠点の形成に向けた取組みに着手するなど、超高齢社会に対応した、多様な世代が生き生きと住み続けられる住まい・まちづくりを推進してまいりました。
 また、東日本大震災の被災地においては、宮城県牡鹿郡女川町など15地区780戸で災害公営住宅の引渡しを行うなど、被災地の早期生活再建を支援してまいりました。

 加えて、機構発足以来の課題である経営改善についても、閣議決定を踏まえ、経営改善計画を昨年3月に新たに策定し、20年先までを見据えたサステイナブルな経営基盤の構築に向け、同計画における取組みを着実に実行してまいりました。

 第三期中期計画の2年目となる本年の主な取組みとしましては、都市再生事業においては、地方公共団体や民間事業者との適切な役割分担の下、民間事業者との連携を一層強化してまいります。具体的には、国際ビジネス拠点である大手町地区や日比谷線新駅等のインフラ整備を含む虎ノ門エリア等において、都市の国際競争力強化のためのプロジェクトを推進するとともに、地方都市におけるコンパクトシティの実現、密集市街地等における防災性の向上等、政策的意義の高い事業を推進してまいります。

 賃貸住宅事業においては、引き続き、後期高齢者が急増する2025年までの間に、主に大都市郊外部に存するUR団地を中心として、地域医療福祉拠点の形成に取り組むとともに、UR賃貸住宅において基本的に見守りサービスが受けられる環境の整備を進めてまいります。

 また、ストックの再生・再編については、具体的な実施計画を策定し、一層の推進に取り組んでまいります。

 更に、東京都心部に所在する高額賃貸住宅については、昨年、公募を開始しました先行団地の実績などを踏まえつつ、順次サブリース化に向けた取組みを実施してまいります。

 東日本大震災からの復興においては、現在、事業のピークを迎えております。復興に向けたまちづくりを着実に進めるとともに、災害公営住宅の整備を推進し、被災者の皆様の一日も早い生活再建に向け、最優先業務として全力で取り組んでまいります。

 ニュータウン事業においては、事業収束に向けた土地の供給・処分を着実に推進してまいります。

 今後も、役職員一丸となって経営改善に取り組むとともに、民間事業者の皆様との連携を強化し、これまでに培ってきた経験やノウハウを遺憾なく発揮しながら、政策的、社会的ニーズに対応した業務を実施していくことで、皆様の期待に応えてまいる所存です。

 最後に、当機構の業務につきまして、日頃から格別のご理解・ご協力を賜っている関係各位に深く感謝を申し上げるとともに、本年の皆様方の益々のご発展とご健勝を祈念いたしまして、年頭のご挨拶とさせていただきます。


■(独)住宅金融支援機構理事長 宍戸信哉氏

 新春を迎え、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。

 住宅金融支援機構の設立以来およそ9年、【フラット35】は、おかげ様で約65万戸(平成26年11月現在)までご利用実績を積み重ねてまいりました。今後も、将来の金利水準が不透明な中で、住宅を取得される方に全期間固定金利の安心という選択肢をご用意するとともに、中古住宅も含めた住宅市場の活性化や省エネルギー性能をはじめ質の高い住宅の普及を支えてまいります。

 加えて、少子高齢社会対策等の政策上の重要課題について役割を果たすため、サービス付き高齢者向け賃貸住宅融資等、機構ならではの融資を提供してまいります。

 また、近年、災害が頻発する中で、災害復興住宅融資等により、被災者の方の支援に全力を挙げて取り組んでまいります。特に、東日本大震災については、昨年6月に釜石市に三陸復興支援センターを設置しましたが、住宅再建のための宅地の供給の本格化が見込まれる中、引き続き、被災者の方のニーズに、丁寧にきめ細かく対応してまいります。

 今後とも、お客さまをはじめ、住宅事業者、金融機関等、関係機関の皆さま方のご期待に応えられるよう、役職員が一丸となって一層の努力を重ねてまいる所存でございます。これまでと変わらぬご理解、ご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。


■(一社)マンション管理業協会会長 山根弘美氏

 新年明けましておめでとうございます。昨年も我が国は、各地で自然災害が発生し、多くの方々が被災されました。東日本大震災で被災された方々も合わせて、被災された地域の復旧・復興が早期に迎えられることをお祈り申し上げますとともに、本年が国民の皆様にとってより良い年でありますよう心からお祈り申し上げます。

 2014年を振り返り特記すべきは、分譲マンションストックが600万戸の大台を超えたこと。マンション管理業が新たなステージに入ったと意を強くしています。もう一つは空き家問題。さらにエネルギー問題もマンション管理の現場で非常に切実なものになりました。また、管理組合にとって最も大きかったのは、消費税引上げです。8%への負担増に対処するため、管理組合と管理会社の双方が協力して支出を減らし乗り越えてきた年でもありました。
 当協会の会員会社は、全国550万戸と約10万の管理組合と直接つながっています。管理組合やマンション居住者というお客様のために、管理業界は何が出来るか。その一つがマンションのための消費増税対策だと思っています。消費税10%への引上げを控え、管理組合と共に歩んでいきたいと考えています。

 1月よりマンションライフ総合支援キャンペーンを実施してまいります。マンションライフを豊かにする様々な活動の情報を集め発信するポータルサイト「マンションのWa」を立ち上げ他の機関、団体等と連携して進めてまいります。さらに「マンションいい話」を募集し、顕彰するコンテストも実施する予定です。

 「マンション2025ビジョン懇話会」での検討も継続します。超高齢化が進み75歳以上の後期高齢者の人口が5人に1人に。地域包括ケアシステムの中でマンションが果たす役割は何なのか。国の財政赤字と法人個人の預貯金残高がクロスすると言われる2025年に管理組合が直面する課題は何なのか。マンション管理業の将来のあり方を探ってまいります。

 管理会社の法令遵守の徹底及びコンプライアンス体制の整備は業務品質の基本です。実施中の新モニタリング制度やアドバンス研修などに加え、チェック体制をより強化していきます。また昨年初めて、業界の将来を担う若手職員向け海外研修を台湾にて実施しました。人材の育成に努め、管理組合の皆様からの信頼確保に努めたいと思っています。

 最後になりましたが、会員の皆様のご活躍と当協会のさらなる発展のためにご支援とご指導をお願い申し上げて、新年のご挨拶とさせていただきます。 


■(公財)日本賃貸住宅管理協会会長 末永照雄氏

 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 当協会は今年も平成28年度までの賃貸住宅管理業の法制化と賃貸不動産経営管理士の国家資格化の実現を目指し、会員が一体となり取り組みます。

 各方面の有識者を委員とした管理業法推進特別委員会を引き続き設置し、新たな賃貸住宅管理のあり方をさらに深めます。

 並行して全国での会員拡大に注力します。会員数の増加は質の高い賃貸住宅管理業の普及促進に不可欠で、入居者への快適な住環境の提供につながります。

 本年は税制改正により、相続税の対象となる家主の大幅な増加が予想されます。管理業者の立場から家主の相続支援ができる、本協会認定「相続支援コンサルタント」について、講習を全国10地域以上に拡大して開催し、育成と資質向上に努めます。

 最後になりますが、皆様方の益々のご繁栄とご健勝をお祈り申し上げます。


■(一社)住宅生産団体連合会長 樋口武男氏

 新年あけましておめでとうございます。

 昨年の日本経済は、アベノミクス効果によりデフレからの脱却に向け安定した歩みを続け、企業業績も堅調に推移しましたが、一方で4月に実施された消費税引き上げによる消費意欲の減退が見られました。

 解散総選挙によって改めて大きな信任を得られた政権によって、今年こそ力強い経済の実現とサステナブルな成長軌道への道筋が明確に示される年となることを大いに期待いたします。

 経済波及効果の高い住宅投資の減少は、地方の経済・雇用にも多大な影響を与えるため、住宅取得資金に係る贈与税の非課税措置の拡大、フラット35Sの金利引き下げ、住宅エコポイント制度の復活など、継続的に需要を喚起する経済対策が必要です。また住宅に係る多様な税負担の軽減も重要な課題であり、住宅が社会的資産であることを踏まえ住宅税制全体の抜本的な見直しが必要であると考えています。

 今後、平成29年4月に延期された消費税率10%への再引き上げを睨んで、軽減税率制度の導入が具体的に議論されることと思いますが、当連合会では住宅に対する軽減税率は世界標準という観点から引き続き軽減税率適用を要望してまいります。

 また、少子高齢社会の諸課題解決を目指して、高齢者から子育て世代までが安心・健康に暮らせる街づくりや、低炭素・循環型社会に不可欠なゼロ・エネルギー住宅(ZEH)の供給促進、ならびに健全なリフォーム・流通市場の整備を推進し魅力あるストック型社会への転換を推進してまいります。

 本年が皆様にとって、新たな事業創造で大いなる発展を実現する年となりますよう心からお祈り申し上げまして年頭のご挨拶とさせていただきます。


■(一社)日本ツーバイフォー建築協会会長 市川俊英氏

 平成27年の初春を迎え、謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。

 会員の皆様には、当協会の運営に当たり、日頃よりご理解とご協力をいただきまして、誠にありがとうございます。

 ツーバイフォー工法が一般工法としてオープン化されてから、昨年の8月に40年を迎えることができました。

 この間、さまざまな研究・開発・実験を行い、それらの成果に基づいて、国の技術基準の改正などを働きかけ、ツーバイフォー工法で建てられる建物の階数、規模、用途、地域が拡がるという進展をもたらしてきました。その結果、着実に戸数・シェアを伸ばし、木造住宅におけるシェアでは22.7%と、実にわが国の木造住宅の5戸に1戸以上がツーバイフォー工法で建てられるまでになり、累計着工戸数では今年度中には240万戸に達するものと思われます。

 これもひとえに国土交通省、地方公共団体、関係機関をはじめ住宅施策の推進にご尽力くださいました方々のご支援ご指導をいただき、会員の皆様が地道な努力を積み重ねてきた結果であり、一般の方々の当工法に対するご理解の賜と心より感謝申し上げます。

 平成26年度の住宅着工戸数は、一昨年の10月以降、増税による反動減の回復が予想以上に遅れ、戸建て注文住宅を中心に大きく落ち込んでいる状況が続いており、昨年度の98.7万戸から大幅に減少し87万戸台になるとの予測もあります。

 次回の消費税増税は延期となり、平成29年4月(予定)になりました。私共の業界にどのような影響があるかは、まだ予測の立てにくいところではありますが、地に足をつけた行動が求められることになりそうです。

 この一年、協会としては支部・本部の連携を一層強化し、ツーバイフォー工法の優れた基本性能と木造の特性を強く外部に訴求することにより、これまで着実に戸数・シェアを伸ばしてきたツーバイフォー工法のさらなる普及・拡大に取り組んでまいります。

 最後になりましたが、会員各社の皆様に、よりご満足いただける協会となるよう、スピード感を持って協会運営に当たっていく所存でございますので、引き続きご指導、ご支援を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。


■(一社)日本ビルヂング協会連合会会長 髙木 茂氏

 新年あけましておめでとうございます。

 2015年を迎え、安倍政権のもと、日本再生を目指し引き続きアベノミクスの諸政策が推進されていくことが信任されました。新しい内閣による予算の編成作業が急ピッチに進んでいくものと思われます。政府には今年一年、「経済の好循環」を本格化させる政策を実行し、成果を上げる「実りある年」にしていただいきたいと強く感じています。

 日本経済はデフレからの脱却への途上にありますが、オフィスマーケットにもようやくその効果が波及し回復の基調が定着しつつあります。各都市において空室率に低下の兆しが見え、東京圏では賃料へ波及し始めています。今年は成長戦略の実効による日本経済の再生により、こうした傾向が大都市圏さらに地方都市で定着することを期待します。

 さて、オフィスビルは、テナント企業の知的生産の場として、高度化・国際化する日本経済を支える重要な「経済インフラ」であります。また、魅力ある都市の良好な景観を形成する中心的な役割を担いながら、地域社会に貢献する存在でもあります。そうした中で、オフィスビルを取り巻く環境は近年大きく変化してきています。テナントニーズや働き方の変化により、オフィス空間に対する期待はこれまで以上に多様化しており、国際的な視野に立った又地方の活性化を踏まえた、都市としての機能、まちとしての魅力を高めていく都市再生への取組みが大きな課題になっています。更に地球環境・省エネ、安全安心・耐震等への対応も急がれています。ビル事業オーナーを会員とする協会には非常に重要な役割と責務が課せられていると感じています。

 全国19協会の連合体である日本ビルヂング協会連合会は、全国の会員の創意工夫とエネルギーを結集しながら、ビル経営を取り巻く多くの課題に迅速かつ的確に対応し、オフィスビルに求められている様々な社会ニーズに応えてまいります。


■(一社)不動産証券化協会会長 岩沙弘道氏

 わが国経済は、設備投資が増加基調にあることや、個人消費が底堅く推移していること等を背景に、緩やかな回復基調にある。衆議院総選挙により国民の信任を得た安倍政権には、本格的な経済成長に向けて、山積する課題の解決に向けた政策を迅速かつ強力に推し進めていただきたい。

 さて、わが国の不動産投資市場は、昨年も堅調に推移した。なかでもJREIT市場は、6件のIPOにより上場銘柄数49となり、資産規模は約12.6兆円、時価総額はかねて目標としていた10兆円を超えた。また、オープンエンド型私募リートは、年金等機関投資家の長期安定的な投資先として引き続き高い評価を得ており、現在10法人で運用が行われ、資産規模は8千億円を超えた。本年も新規組成が予定されており、JREITや私募ファンドとともに不動産投資市場の更なる拡大に向け大きな役割を果たすと考えている。

 投資対象資産の多様化も進んでおり、JREIT初の海外不動産取得やヘルスケア施設特化型リートの上場が実現した。社会や産業の構造変化に伴う新たな不動産ニーズに応えていくために、公的不動産なども含めて、更なる多様化・拡大に向けた諸活動に注力する。

 また、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、JREITへの投資を開始したほか、10月の基本ポートフォリオの変更において、不動産などのオルタナティブ資産での運用について初めて明記した。今後、機関投資家に対して不動産がアセットクラスのひとつとして位置付けられるよう普及活動等を行うとともに、インデックス等の情報発信や投資家登録制度を活用した投資家との連携強化に努めていく。一方、個人投資家に対しては、NISA制度等を活かしながら、JREITへの投資を一層喚起していきたい。

 不動産証券化協会認定マスター制度は、本年で創設10年を迎え、これまで5,700名を超える資格認定者を輩出してきた。継続教育制度の充実等により、今後も市場の健全な発展を支える人材の育成に尽力していきたい。

 2015年は、次期中期事業計画の初年度にあたる。本年を不動産投資市場が新たなステージへと向かうスタートの年と位置付け、強い使命感を持って日本経済の再生を牽引するべく精力的に取り組んでまいりたい。


■(公社)日本不動産鑑定士協会連合会会長 緒方瑞穂氏

 新年おめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。
 今年の10月1日は、日本不動産鑑定士協会連合会の前身である日本不動産鑑定協会が公益法人として発足して以来、創立50周年を迎えることになります。記念事業として式典、講演会、研究論文の公募、シンポジウム等を計画するほか、すでに記念のロゴマークや記念切手も作成し、広く社会一般にも不動産鑑定評価制度の歴史を広報するべくつとめています。

 50年は長い時間ですが、一語で尽くすことも可能です。すなわち、「将来への布石」を手配りする時間でした。この50年間、連合会の先達は不動産鑑定評価制度の発展のために、公益事業につとめるほか、国民への情報提供、会員の資質向上のための研修や評価理論の調査研究等、多くの有益な活動を送って来ました。その結果、国家の資産、国民の財産を正当に評価することで、社会生活の安定・向上が得られています。

 不動産鑑定業が産業として持続的に確立するために2011年公表された「不動産鑑定業将来ビジョン」は、3年を経過したいま、50周年を契機に「さらなるビジョン」として改めて時代に適応した新しい課題を取り込んで見直しをはかる作業を進めているところです。これによって、社会のインフラとしての不動産鑑定評価の意義を高めて行きたいと考えています。不動産鑑定評価が、暮らしの中に、国民の身近にあることを希望しています。

 昨年から始まりました不動産取引価格情報提供制度による取引事例の利用については、大きな事故もなく、安全管理の徹底と利用の透明性が確保されて順調に運営されています。社会における情報取扱がいかに慎重であるかを鑑みれば、事例情報を安易に漏洩しないことは、専門家としての基本的責任であると言えます。取引事例の利用については、一般国民に合理的な説明ができなければなりません。現在の閲覧体制はさらに今年も継続されることとなりました。

 また、実行可能な目標は着々と成果を見せています。
 日本再興戦略にも関連する政策の一つと位置づけられております既存住宅流通の促進は、宅地建物取引業協会等他の専門分野との協力連携を得て、不動産鑑定士が関与するよう、協議体が発足していますし、当連合会としては建物評価の精緻化に向けて取りまとめを行っています。
 地方公共団体等所有の公的不動産(PRE)の証券化は国土交通省において研究が進められていますが、その価値評価においては不動産鑑定士の能力が活用されると思われます。課題のある証券化分野ですが、公的不動産活用の戦略策定には有効な方策ですので、今後の展開が期待されます。

 過ぎた50年間、信頼と倫理の確保を第一に連合会は歩んでまいりました。関係各位におかれましては、過去のこの歴史を踏み台として、未来の50年の飛躍のために、なにとぞ連合会の取り組みに対しご理解とお力添えをいただきますようお願い申し上げます。

記事のキーワード 一覧

新着ムック本のご紹介

ハザードマップ活用 基礎知識

不動産会社が知っておくべき ハザードマップ活用 基礎知識
お客さまへの「安心」「安全」の提供に役立てよう! 900円+税(送料サービス)

2020年8月28日の宅建業法改正に合わせ情報を追加
ご購入はこちら
NEW

月刊不動産流通

月刊不動産流通 月刊誌 2024年5月号
住宅確保要配慮者を支援しつつオーナーにも配慮するには?
ご購入はこちら

ピックアップ書籍

ムックハザードマップ活用 基礎知識

自然災害に備え、いま必読の一冊!

価格: 990円(税込み・送料サービス)

お知らせ

2024/5/1

「海外トピックス」を更新しました。

サントスの「動く博物館」と中心街の再活性化【ブラジル】」を更新しました。

ブラジル・サンパウロ州のサントスでは、旧市街地2.8キロをめぐる「動く博物館」が人気となっている。1971年には一度廃止された路面電車を復活して観光路面電車としたものだが、なんと日本から贈られた車両も活躍しているという。