不動産ニュース / 調査・統計データ

2015/3/3

「人間の感性に訴える力」を持つ都市、東京がトップに/森記念財団調査

 (一財)森記念財団都市戦略研究所は3日、“都市空間が人間の感性に訴える力”を指標に世界主要21都市をランキングした「アーバン・インタンジブル・バリュー(都市の感性価値)」を発表した。

 同研究所が毎年発表している世界の都市総合力ランキング「Global power City Index(GPCI)」では、経済や環境、研究・開発などあらゆる分野の総合力で都市の力を評価しているが、今回の調査は、快適さ、安らぎ、おもてなし(ホスピタリティ)など、都市に生活する人々が抱く感性的な価値に注目。6つの要素(効率、正確・迅速、安全・安心、多様、ホスピタリティ、新陳代謝)を通してランク付けした。

 回答者が居住する都市について、複数の質問を行ない5段階で評価。GPCI-2014で対象としている都市のいずれかに居住しており、GPCI-2014の対象40都市のうち、自国を除いた3都市以上に訪問経験がある人を対象に、各都市で52サンプル、40都市合計で2,080サンプルを調査した。

 新たなランキングでは、GPCI-2014で4位であった東京が1位に。2位には、東京とは経済規模も人口も大きく異なるウィーンがランクイン。3位はシンガポール、4位はトロント、5位はニューヨークとなった。

 東京は「住民の親切さ」「街中の清潔さ」といったおもてなしの魅力や、「サービス水準」の高さなどが高く評価され、「ホスピタリティ」の要素で1位を獲得した。また、「地下鉄の輸送力と利便性」や「人口当たりの日刊新聞の発行部数」「公共交通の駅密度」などの指標も高く評価され、「効率」の要素でも1位を獲得した。その他の要素別ランキングでもすべて10位以内にランクインし、総合的に感性的な価値が高いことが分かった。

 一方、「施設利用時の待ち時間の少なさ」の指標は、21都市中最下位。「正確・迅速」の要素は9位にとどまった。また、「起業活動率」の低さや外国人居住者の少なさなど、「多様」「新陳代謝」などの要素の評価は相対的に低いという課題も明らかとなった。

 なお、GPCI-2014のトップ3都市(ロンドン、ニューヨーク、パリ)は、「多様」が高く評価されたが、「効率」「ホスピタリティ」「安全・安心」が低評価となり、ロンドンは10位、ニューヨークは5位、パリは11位にとどまった。

 3日会見した森記念財団理事で明治大学専門職大学院長の市川宏雄氏は「“都市が人間の感性に訴える力”という目に見えないソフトの部分に焦点を当て、都市の隠れた魅力やパワーを評価した。今後は毎年または数年に1度で調査していくかは未定だが、バージョンアップしたものを調査していきたい」などと述べた。

新着ムック本のご紹介

ハザードマップ活用 基礎知識

不動産会社が知っておくべき ハザードマップ活用 基礎知識
お客さまへの「安心」「安全」の提供に役立てよう! 900円+税(送料サービス)

2020年8月28日の宅建業法改正に合わせ情報を追加
ご購入はこちら
NEW

月刊不動産流通

月刊不動産流通 月刊誌 2024年5月号
住宅確保要配慮者を支援しつつオーナーにも配慮するには?
ご購入はこちら

ピックアップ書籍

ムックハザードマップ活用 基礎知識

自然災害に備え、いま必読の一冊!

価格: 990円(税込み・送料サービス)

お知らせ

2024/4/5

「月刊不動産流通2024年5月号」発売開始!

月刊不動産流通2024年5月号」の発売を開始しました。

さまざまな事情を抱える人々が、安定的な生活を送るために、不動産事業者ができることとはなんでしょうか?今回の特集「『賃貸仲介・管理業の未来』Part 7 住宅弱者を支える 」では、部屋探しのみならず、日々の暮らしの支援まで取り組む事業者を紹介します。