不動産ニュース / その他

2017/1/20

広域渋谷圏の活性化に全力。住宅事業は複合・再開発にシフト/東急不動産

住宅事業は、「再開発や複合型開発など長期型へシフトしていく」とした植村社長
住宅事業は、「再開発や複合型開発など長期型へシフトしていく」とした植村社長

 東急不動産(株)代表取締役社長の植村 仁氏は19日、専門誌記者と会見。2017年度以降の事業戦略等について語った。

 主力の都市事業は、東急グループの“城下町”である渋谷を中心に、原宿、代官山、青山などの「広域渋谷圏」活性化に注力していく。渋谷再開発では、自社が中心となる東急プラザ跡地再開発、南平台の旧本社跡地再開発などを推進。東急グループの再開発事業を含めたリーシングを進めていく。
 「われわれが育てられた渋谷は、今後2027年まで長い間にかけ、大規模なまちづくりが続く。世界の大都市に比肩するポテンシャルがある。ITベンチャー系企業従事者は職住近接を好むので、オフィスに加え、住機能を強化する。また、広域渋谷圏内で複数の既存ビルの取得を進めており、再開発前にベンチャー企業に使ってもらい、様々な情報を発信してもらうことも考えている」(植村氏)。足元のオフィス市況については「空室率は下がっており、退去があっても内部増床ニーズで埋まる状態。賃料もじわじわ上がっている。新規ビル供給過多は懸念されるが、渋谷は圧倒的に床不足であり、別次元のマーケットだ」(同氏)。

 住宅事業については、年間供給3,000戸を目標としていたが、郊外部の売れ行き鈍化や少子化による絶対ニーズの減少などを踏まえ、供給量にはこだわらず「短期回転型から、再開発や複合開発といった長期回転型ビジネスへの転換を図る。現在はその過渡期」(同氏)とした。17年は、シニア住宅と分譲マンションとの複合開発「世田谷中町プロジェクト」が竣工を迎えるほか、横浜・十日市場でも同様の複合開発に着手。大船駅前や大阪・羽衣駅前の複合再開発も始動した。
 「当社グループは、シニア住宅や商業施設開発・運営のノウハウがあり、これらのリソースが活用できる。山手線外延部の木密エリアの再開発や、県庁所在地の駅周辺再開発などへの参画を目指す」(同氏)とし、再開発や複合型の住宅シェアを、全体の半分近くまで拡大する方針。

 その他、インバウンドニーズも見込んだリゾート事業、インドネシアと北米を核とした海外事業、シニア住宅事業、コンセッション事業などを成長事業として掲げる。「シニア住宅は有料老人ホームだけでなく、分譲型シニア住宅も検討していく。インドネシアは確実にポテンシャルが上がっており、住宅分譲に加え賃貸住宅の取得も考えたい。北米はトランプ政権の動向をみてアロケーションを考えていく。リゾートについては、出口として既存REITへの組み入れもしくはリゾートREITの立ち上げも検討したい」(同氏)。

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