(一財)不動産適正取引推進機構は13日、すまい・るホール(東京都文京区)で第105回講演会を開催。約200名が参加した。
セミナーでは、岡本正治法律事務所弁護士の宇仁美咲氏が「改正宅地建物取引業法と紛争事例」をテーマに講演。インスペクションのあっせん等に係る説明義務を盛り込んだ宅建業法改正の全面施行を前に、説明義務や方法、依頼者への報告など具体的な取引での紛争予防の観点から解説した。
同氏は、「インスペクションの対象は、目視・非破壊検査で認識できる程度の“物の瑕疵”について機能するだけであり、その他の部分については、知らなかったと書いておけばいいということではない。心理的瑕疵等の問題はそのまま残っており、告知書をしっかり作成するなどして対応しなくてはならない」とした。
また、買い主が依頼して作成したインスペクション調査報告書について、取引が不成立になった場合の取り扱いを売り主・買い主と事業者で決めておくべきことや、重要事項説明時もインスペクション結果について買主の疑問にしっかり応えられるよう、調査事業者と取り決めておくべきことなどを指摘した。
同氏は業法改正について「インスペクションが普及するかどうかは、ふたを開けてみなければわからないが、極めて複雑な媒介契約制度も、事業者の努力で定着した。買い主によるインスペクションが普及することが、普及のカギだと思う。事業者の皆さんがそれにどう関われるかが重要だ」などと展望を語った。