不動産ニュース / 調査・統計データ

2018/10/12

北海道地震、地質要因で被害拡大/JHS調査

報告会で展示されていた札幌市清田区の火山灰

 LIXILグループで戸建住宅の地盤調査、建物検査を手掛けるジャパンホームシールド(株)は11日、北海道胆振東部地震(9月6日発生)における調査結果を発表した。

 現地に調査隊を派遣し、地盤調査・解析の見地から被害状況を調査。調査期間は、9月17~19日(1次)、27~28日(2次)。目視と切土・盛土分布図の作成。エリアは、札幌市、北広島市、厚真町、安平町、むかわ町などの5エリア。

 同調査では、地震による地盤被害の中から、札幌市清田区の地盤沈下に着目。清田区清田と里塚における建物被災状況と切土・盛土の分布を比較した。切土・盛土分布図(独自に清田区限定で作成)と建物被災状況を照らし合わせたところ、清田では5mを超える盛土地に被害が多いのに対し、里塚では盛土が薄い地域の被害が目立ち、盛土の厚さだけで被害の状況を説明できない地域があった。

 そこで、その他の要因を探ったところ、里塚では、地震による被害は旧河道付近で多く、かつての谷筋は周囲から集水しやすく、地下水位が高い傾向にあることが分かった。また、過去の地盤調査結果から、地域の盛土下位付近には緩い火山灰質土の分布が想定された。これらの調査結果を受け同社は「被害が多かった原因について、地下水位が高いこと、緩い火山灰質土の分布という素因に地震や降雨が誘因となり、地盤の液状化の発生や水みちによる土砂の流出を引き起こし、地盤が沈下したために建物や道路等に被害が生じた」と考察した。

 同日の報告会で同社取締役技術統括部長の石井洋一氏は「今回の被害は、地質(火山灰)、盛土、雨に加えて、地下水の4つが要因となっている。これら単独では災害は起きないが、プラスして地震が起こったため、被害が拡大した。住宅を建てる際、地盤にまで目がいかない人が多い。きちんと地盤の調査をして、その情報を施主さんにビルダーが伝え、どのような家を建てるか相談できるよう、調査内容を生かしていきたい」などと述べた。

新着ムック本のご紹介

ハザードマップ活用 基礎知識

不動産会社が知っておくべき ハザードマップ活用 基礎知識
お客さまへの「安心」「安全」の提供に役立てよう! 900円+税(送料サービス)

2020年8月28日の宅建業法改正に合わせ情報を追加
ご購入はこちら
NEW

月刊不動産流通

月刊不動産流通 月刊誌 2024年5月号
住宅確保要配慮者を支援しつつオーナーにも配慮するには?
ご購入はこちら

ピックアップ書籍

ムックハザードマップ活用 基礎知識

自然災害に備え、いま必読の一冊!

価格: 990円(税込み・送料サービス)

お知らせ

2024/4/5

「月刊不動産流通2024年5月号」発売開始!

月刊不動産流通2024年5月号」の発売を開始しました。

さまざまな事情を抱える人々が、安定的な生活を送るために、不動産事業者ができることとはなんでしょうか?今回の特集「『賃貸仲介・管理業の未来』Part 7 住宅弱者を支える 」では、部屋探しのみならず、日々の暮らしの支援まで取り組む事業者を紹介します。