不動産ニュース / 開発・分譲

2018/10/29

ひばりが丘団地のエリマネ、20年に住民主導に

ひばり
ひばりが丘団地。各社による分譲マンションやUR賃貸等さまざまな建物が混在しているが、ケヤキ並木を保存することで、エリア全体の統一感を創出している

 「ひばりが丘団地」(東京都西東京市、東久留米市)で活動するエリアマネジメント団体・(一社)まちにわ ひばりが丘は28日、「ひばりが丘団地再生事業」の新規分譲区画(1,187戸)が9月に完成したことを受け、同エリアのエリアマネジメント活動の進展についてメディア向けの説明会を実施した。

 同団地は、日本住宅公団(現(独)都市再生機構)が開発する首都圏初の大規模団地として、1959年度に入居開始。総戸数は2,714戸だった。老朽化や仕様の陳腐化などにより98年からUR賃貸住宅の建て替えをスタート。建て替えによって生まれた余剰地を民間に売却するに当たり、旧団地エリアが一体となったコミュニティ形成を目指し、事業パートナーを募集した。

 事業パートナーとして選定された大和ハウス工業(株)、住友不動産(株)、(株)コスモスイニシア、オリックス不動産(株)の共同事業体が新規分譲を手掛けると同時に、エリアマネジメントにも協力する。地域のまちづくりやエリアマネジメントを官民共同で取り組む「事業パートナー方式によるPPP手法」を採用した日本で初めての取り組みとなる。2014年6月には、エリアマネジメントの推進役として事業パートナー4社が参加して「まちにわ ひばりが丘」を設立。コミュニティ活動支援などを手掛ける(株)HITOTOWAが事務局として運営協力している。

 同団体は、地域活動の担い手・けん引役として、住民を中心としたボランティア「まちにわ師」を設立。団地の1棟を再生した地域のコミュニティ拠点となる「ひばりテラス118」の運営、まちの情報発信、イベントの企画・運営等に携わっている。「養成講座」を実施して募集しており、現在は約40人がまちにわ師として活動する。

 団体の活動を支える財源は、共同事業体からの基金、住民から月300円の会費等。「ひばりテラス118」にはコーヒーショップがテナントとして入居するほか、コミュニティスペースやカーシェア、体験型農園などの有料施設も併設しており、団体の収益を支えている。事務局長の高村和明氏は「継続的に活動するには、行政からの補助金頼みにはならないようにする必要があります」と語る。

 現在、同団体の役員は共同事業体各社の社員等が務めているが、これを20年をめどに住民主導に切り替える方針。20年4月の改選で、事業者出身の役員は全員退き、事務局もHITOTOWAから住民による運営に移行する予定。「共同事業体各社も、グループのマンション管理会社などが住民とのパイプ役として機能するでしょうし、HITOTOWAとしても完全に関係が切れるわけではありませんが、そのために収益事業を軌道に乗せるなどといった準備を進めていきます」(高村氏)。

ひばりテラス118
地域コミュニティの拠点である「ひばりテラス118」
ひばりイベント
イベントには大勢の地域住民が参加する

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エリアマネジメント

地域における良好な環境や固有の価値を維持・形成・向上するための取り組みで、地域住民などが主体的に行なうものをいう。和製英語である。

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