国土交通省は24日、「長期優良住宅制度のあり方に関する検討会」(座長:松村秀一東京大学大学院工学系研究科特任教授)の7回目となる会合を開き、中間とりまとめ(案)を議論した。
長期優良住宅の普及の促進に関する法律施行から10年が経過し、累計認定実績が100万戸を超え、近年は住宅着工全体の11%を占めるなど一定の評価を得ている長期優良住宅について、さらなる普及の促進や既存住宅としての流通促進に向けた取り組みの方向性について、2018年11月から議論してきたもの。
とりまとめでは、さらなる普及に向けた課題について(1)シェア0.1%にとどまっている共同住宅の認定促進、(2)年間供給戸数50戸未満の中小事業者の認定促進、(3)重複する評価項目が多い性能表示制度との一体的運用、(4)流通時に評価されるための環境整備、(5)認定取得に係るインセンティブ、などを挙げ、委員からの意見をもとにオプションを設定し、メリット・デメリットを整理した。
共同住宅の認定促進については、耐震性と劣化対策に係る認定基準がネックになっていることから、認定基準に係るワーキンググループを設置し、意見を求めたが、認定基準の合理化が可能などうかを引き続きワーキングで検討し、可能なものから順次実施していくとした。
中小事業者の認定取得の促進については、手続きに戸惑っている事業者に対する申請代行事業者の利用促進、維持管理の実施に不安を持つ事業者が維持管理事業者を活用できる環境整備などを挙げた。
流通時に評価されるための環境整備については、認定長期優良住宅の認知度向上、長期優良住宅を容易に区別する手法、認定長期優良住宅のハードの性能が維持されているかを流通時に確認でき評価するための手法、認定長期優良住宅が計画通り維持保全されるための制度的な担保などを課題として挙げ、既存枠組みの普及促進と新たな仕組みづくりによる長期優良住宅制度の精緻化の2つの方向性から検討したが、負担増につながる制度の精緻化ではなく、既存の枠組み等の普及促進を目指すべきとした。
インセンティブについては、建設時、維持保全の実施、流通時に分け検討。建設時のインセンティブが共同住宅に合っていないとの指摘や、維持保全費用の一部の免除、大規模修繕時の減税策といった意見が出された。
検討会は、ワーキングでの議論を続けるほか、住生活基本計画の見直しも踏まえ、来春めどに制度の見直しについて検討していく。