国土交通省は3日、長期優良住宅制度のあり方に関する検討会の最終とりまとめを発表した。
2019年6月に長期優良住宅の普及の促進に関する法律の施行から10年が経過することを踏まえ、18年11月より、長期優良住宅制度に対する評価や課題を整理し、長期優良住宅のさらなる普及促進に向けた取り組みの方向性について検討してきた。
最終とりまとめでは、認定基準の見直し案として、新築住宅において、共同住宅の認定基準の合理化を指摘。劣化対策、耐震性、維持管理・更新の容易性の面で改善が必要とした。規模の基準や立地に応じた基準の付加については、審議会で進められている住生活基本計画の見直しを踏まえて検討していくべきとしている。
制度の改善策として、新築住宅おいては、住宅性能表示制度との一体的運用、住棟単位での認定制度の確立が課題であると示した。既存住宅については、未認定住宅において、認定長期優良住宅の流通量増加に向けて、増改築行為がない場合でも性能を評価し認定する仕組みづくり、現況検査によって点検することができない箇所における見えない瑕疵についての扱いの整理・明確化がポイントになるとした。認定済みの住宅については、認定長期優良住宅とそうでない住宅の区別する方法として、所管行政庁等による認定に係る情報を集約し第三者によるアクセスを可能とする仕組みが必要としている。認定計画通りに維持保全されることへの制度的担保も求められるとした。
また、新築・既存住宅いずれにおいても、賃貸住宅の認定促進を進めるべきとして、区分所有されていないこと等を踏まえた基準の合理化やオーナーへのインセンティブへのあり方等に関し、引き続き検討を継続すべきとした。
制度普及に向けては、中小事業者、消費者ともに長期優良住宅のメリットや認定基準について分かりやすく周知・普及すべきであるとした。中でも既存住宅においては、価格査定マニュアルの利用促進のほか、認定長期優良住宅マーク等を作成し、偽装防止対策を講じた上で流通時における表示を促進することを検討すべきとした。
また、新築・既存住宅共に、住生活基本計画の見直し、住宅ローン減税をはじめとする住宅に係る基幹税制の見直しの議論を踏まえ、認定長期優良住宅に対するインセンティブのあり方について検討の必要性を指摘。財政面、金融面のインセンティブだけでなく、例えば、共同住宅の住棟単位認定や立地に応じた基準の付加などの制度見直しに対応した、容積率等の緩和の可能性も検討することが望ましいとした。