不動産ニュース / リフォーム

2020/9/15

築44年の賃貸物件をコロナ踏まえリファイニング

「ヴァロータ氷川台」。南面に大きな開口部を実現した

 三井不動産(株)は15日、(株)青木茂建築工房との業務提携による「リファイニング建築」の第5弾「ヴァロータ氷川台」(東京都練馬区、総戸数19戸)を、報道陣に公開した。

 リファイニング建築は、旧耐震建物を解体することなく、現行の耐震基準を満たした建物に再生する手法。今回、リファイニング建築物件として初めて、共用部での“非接触や除菌”によるコロナ対策や、専有部におけるリモートワークスペース確保等の商品企画を取り入れた。

 東京メトロ「氷川台」駅徒歩3分に立地。敷地面積795.35平方メートル。従前の建物は1976年築の鉄筋コンクリート造4階建て、延床面積約869平方メートルの賃貸住宅(19戸)。祖父より建物を相続したオーナーが従前建物への想いが強かったこともあり、事業性からも同社は新築の約7割のコストで建築でき、工期も短いリファイニング建築での再生が最適だと判断した。既存建物をフルスケルトン化し、耐震補強を実施。水回り等設備や内外装を一新、建物の長寿命化を図った。再生後の物件は、鉄筋コンクリート造一部鉄骨造、延床面積1143.99平方メートル。工期は約9ヵ月、事業費は非公開。

 屋上階段室の塔屋を解体することで、既存不適格となっていた日陰規制を満たし現行法に適合。建物の増築を可能にしたことで、南側の道路に面していたエントランスを北側に移動すると共に、エントランスの共用部分を専有化し1階一部住戸の貸付面積を拡大した。そのほか、エレベーターを設置し、屋外廊下を屋内化。住戸内では、南側ベランダの半分を専有部にする増築を行ない、リモートワークスペースとして活用できる空間を創出した。

 住戸は、2K・2LDKから1LDKに間取り変更。専有面積は約41~52平方メートル。設計段階から練馬区や施工業者とやり取りを重ねたことで、南面に大きな開口部も実現している。

 1階部分にあった前面駐車場の一部を活用し、コロナ禍でも息抜きできるスペースとしてデッキ空間も設置した。そのほか、共用部のコロナ対策として、エントランスへ除菌ジェルを設置し、ごみ保管庫等不特定多数が触れる可能性のあるドア取手にアタッチメントを設置。エレベーター内ボタン等への除菌シートの貼り付け、各居室の玄関扉への除菌ジェル用のホルダー設置等を行なっている。

 また、同物件では、特徴を実際に見学できる期間限定のリファイニング建築サロンも12月中旬まで開設。従前と比較した内外装のデザインや設計のポイント等について、パネル展示するほか、リモートワーク対応の家具を配置したモデルルームを見学することができる。

 募集賃料は、13万6,000円~16万8,000円。相場の約95%を実現している。8月中旬より募集を開始しており、現在9戸が入居申し込み済み、そのほか複数住戸で問い合わせを得ている状況。

 同社ソリューションパートナー本部レッツ資産活用部資産活用グループ・チーフコンサルタントの宮田敏雄氏は「新築の場合、商品企画して市場に投下できるまでが2年先といったように長くなるが、リファイニング再生の場合は着工して約10ヵ月で竣工する。今回、コロナ対策やリモートワークスペースなど、社会ニーズを素早く商品企画に取り入れることができた。この事業期間の短さは、事業環境がドラスティックに変わっていく今、非常に大きなメリットだと感じている」などと話した。

 なお、そのほかでは現在、東京都内で第6弾の案件が進行中。

ベランダの半分を専有部とし、リモートワークスペースとして活用できる空間を創出
リモートワーク対応の家具を配置したモデルルーム

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