不動産ニュース / 政策・制度

2020/10/6

長期展望、「真の豊かさ」実感できる国土形成へ

 国土交通省は5日、9回目となる国土審議会計画推進部会国土の長期展望専門委員会(委員長:増田寛也東京大学公共政策大学院客員教授)を開催。事務局が示した中間とりまとめ案について議論を進めた。

 中間とりまとめ案は、大きく「基本的な考え方」「長期展望の前提となる我が国がおかれる状況」「我が国が直面しているリスク・課題対応型の国土形成」で構成。
 基本的な考え方では、「真の豊かさ」を実感できる国土形成を目指し、第二次国土形成計画で提示した「コンパクト+ネットワーク」の考え方を継承した上で、地域の核への集約を図りながら、地域内・地域外をネットワークでつなぐ「多核連携型」の国土づくりを進めるべきであるとした。また人口減少・少子高齢化のさらなる進行による活力低下の懸念に加え、災害の激甚化・頻発化、感染症等への対応のために、国土の全体を見通した総合的な戦略が必要であると記している。

 「長期展望の前提となる我が国がおかれる状況」では、人口減少、少子高齢化、気候変動と自然災害の激甚化、頻発化、感染症等に対する危機意識の高まり、インフラ等の老朽化、暮らし働き方等の変化といったテーマそれぞれについて、現在おかれている状況、2050年の見通しも含めて整理している。

 「我が国が直面しているリスク・課題対応型の国土形成」では、50年までの今後約30年間に「真の豊かさ」を実感できる国土を形成するためには、突発性のリスク、進行性の課題に適切に対応していくことが不可欠であるとした上で、それぞれ政策の方向性と論点について整理。突発性のリスクについての論点としては、自然災害では、危険地域のゾーニングにより災害ハザードエリアに人を住まわせないための土地利用規制・誘導のあり方の検討、氾濫防止に向けた利水ダムの活用や流下能力の向上など。感染症については、情報通信技術を支える情報通信基盤の整備、それを活用できる人材育成のあり方、国民生活等を支える複線的な物流ルートの構築なども含むリダンダンシー(冗長性)のあり方等を挙げている。
 進行性の課題については、日本の活力低下、東京一極集中などを挙げ、Society5.0の実現、産業構造の変革や技術力の強化、テレワーク等の活用に加え、地方における居住・都市機能の集約、公共交通等のネットワーク構築などの推進について検討を行なうべきであるとした。
 そうした課題改善していくことで、50年に向けて「真の豊かさ」を実感できる国土形成に向けて、議論を深めていく必要があるとまとめている。

 とりまとめ案に対して、委員からは「東京集積のメリットは維持すべきであるが、過度な集積はリスクになる。バランスをとっていくことが重要」、「地方都市の空洞化は深刻。持続可能性も大きなテーマであり、そのあたりについても言及したほうが良い」など、活発に意見が述べられた。

記事のキーワード 一覧

新着ムック本のご紹介

ハザードマップ活用 基礎知識

不動産会社が知っておくべき ハザードマップ活用 基礎知識
お客さまへの「安心」「安全」の提供に役立てよう! 900円+税(送料サービス)

2020年8月28日の宅建業法改正に合わせ情報を追加
ご購入はこちら
NEW

月刊不動産流通

月刊不動産流通 月刊誌 2024年4月号
市場を占う「キーワード」
ご購入はこちら

ピックアップ書籍

ムックハザードマップ活用 基礎知識

自然災害に備え、いま必読の一冊!

価格: 990円(税込み・送料サービス)

お知らせ

2024/3/7

「海外トピックス」を更新しました。

飲食店の食べ残しがSC内の工場で肥料に!【マレーシア】」配信しました。

マレーシアの、持続可能な未来に向けた取り組みを紹介。同国では、新しくビルを建設したり、土地開発をする際には環境に配慮した建築計画が求められます。一方で、既存のショッピングセンターの中でも、太陽光発電やリサイクルセンターを設置し食品ロスの削減や肥料の再生などに注力する取り組みが見られます。今回は、「ワンウタマショッピングセンター」の例を見ていきましょう。