国、東京都、沿川区等の実務者による「高台まちづくり推進方策検討ワーキンググループ」(委員長:国土交通省水管理・国土保全局治水課長・藤巻浩之氏)が設置され、第1回目の会合が29日に東京都庁にて開催された。
国土交通省が2020年12月に策定した「災害に強い首都『東京』形成ビジョン」に基づき、高台まちづくりを推進するために、水害リスク等を踏まえた高台まちづくりの在り方や、高台まちづくり実践の過程で発生した課題などについて、検討を進めていく。
冒頭、首都圏における大規模水害時の大規模・広域避難の実装に向けて、特に行政機関等の関係機関が連携して取り組むべき事項について整理するとともに、関係機関間の連携・役割分担のあり方について検討する「首都圏における大規模水害広域避難検討会」(内閣府、2018年6月~21年2月に計5回開催)での検討事項と、令和元年東日本台風で顕在化した課題について改めて報告が行なわれた。大規模水害時に広範囲で住民避難が発生した自治体の避難所などの広域避難先としての使用が困難なケースがあること、広域での被災の発生により事前に安全な広域避難先として特定地域・事態の提示が困難であること、急激な気象変化や公共交通機関の早期計画運休などにより遠方への広域避難が現実的でないことなどから、現実的に対応可能な複数の避難行動パターンを組み合わせて大規模水害時の住民避難を検討していく必要性を示した。
続いて、高台まちづくりのモデル地区を設定する7区(墨田区、江東区、板橋区、北区、足立区、葛飾区、江戸川区)が、現在までの検討事項・取り組みを報告。江東区は(独)都市再生機構の団地建て替えを進めていく中での周辺地域を進めた高台まちづくりの検討、板橋区はモデル地区選定に必要なコミュニティ・タイムライン策定に向けた町会・自治会へのヒアリングの実施などを説明した。
事務局からは、高台まちづくりを推進するために活用できる支援制度を収集・整理した資料を配布。併せて国土交通省で取り組む土地区画整理事業における土地のかさ上げ、雨水貯留施設の整備、都市公園防災事業などの概要、同省の支援事業などについて紹介。東京都からは、警視庁なども含めて高速道路高架部の避難活用について、協議を始めていることなどについて明らかにされた。