(公財)日本賃貸住宅管理協会は、中小賃貸住宅管理会社の入会促進を強化する。新たに、管理戸数500戸未満の事業者に対する会費区分を新設。今年6月の賃貸住宅管理業法完全施行に向け、賃貸管理業界全体の底上げを目指す。
同法により新たに設けられる賃貸住宅管理業者登録制度では、小規模宅建事業者への配慮として、管理戸数200戸未満の事業者については登録が任意とされた。しかし、国土交通省では「すべての賃貸住宅管理業者が登録制度に登録し、登録事業者としての義務(業務管理者の設置、管理受託契約前の重要事項説明、財産の分別管理、オーナーへの定期報告)を含めた社会的政務を果たすべき」と考えていることから、協会会員はすべて登録制度に登録しなければならないという姿勢を示した。
まず「正会員の定義」を改定し、「賃貸住宅管理業法における登録事業者、もしくは特定転貸事業者(サブリース事業者)であること」とした。管理戸数500戸未満の事業者の入会促進を図るため、500戸未満の業者について新たな会費区分とし、年会費を6万円に引き下げた(従前の正会員は年会費12万円・18万円)。既存の正会員のうち、登録制度に登録していない事業者は「特別会員」(年会費12万円・18万円)とし正会員からは外す。現在、同協会正会員約1,400社の約1割が管理戸数200戸未満で、これら会員の登録を促す。
新たな入会促進キャンペーンも展開。登録制度に登録済みで管理戸数200戸未満の新規入会事業者(正会員)の年会費を3年間半額とする「小規模業者向け登録制度応援キャンペーン」や、同協会を一度退会した会員の再入会時に入会金を免除する「カムバックキャンペーン」を追加した。
30日に開催した定例記者会見において、同協会会長の塩見紀昭氏は「規模の大小にかかわらず多くの事業者に正会員となっていただき、登録事業者による会員組織を構成し、賃貸管理業法に則った新しい業界をつくっていきたい」と話した。
なお、同協会は18日開催の理事会・評議員会で、令和3年度の事業計画や重点研究テーマを決定。重点研究テーマには、(1)賃貸住宅管理業法への対応、(2)賃貸不動産経営管理士の国家資格化への対応、(3)広報強化と組織拡大への取り組み、(4)会員の業務支援と質的向上、(5)賃貸住宅市場の整備および適正化を掲げ、賃貸住宅管理業法への対応と登録促進を最重要課題と位置付けた。
最新情報の発信、実務対応策の周知、実務書式の公開など、会員を含む多くの賃貸住宅管理業者が新しい登録制度へ滞りなく登録できるよう支援する。同法施行後は、登録事業者の質的向上を支援し、2,000社を目標に会員拡大に取り組む。併せて、賃貸不動産経営管理士の資格取得の促進と、業務管理者への移行講習等有資格者向けた講習の開催にも尽力していく。