不動産ニュース / 調査・統計データ

2021/5/10

定期借家契約、手続きの煩雑さが課題

 定期借家推進協議会は、定期借家制度に関するアンケート調査を実施、その結果を公表した。

 調査対象は全国の宅地建物取引事業者、賃貸住宅入居者。事業者調査は1月26日~2月12日、ウェブアンケートで実施し、397社から回答を得た。入居者調査は1月12~14日、民間調査会社のモニター1,000人にアンケートを実施した。

 宅建事業者に、これまでの定期借家契約の締結実績を聞くと、「ない」が36.80%で最多となった。実績があるという回答の中でも「減少傾向」は25.90%、「横ばい傾向」26.40%で、「増加傾向」は10.80%にとどまった。

 定期借家の契約実績が減少傾向だったり、活用しない理由を複数回答で聞いたところ、「普通借家に特段の不都合がなく、定期借家を活用する必要性を感じない」が52.20%で最も多く、次いで「契約手続き等が煩雑で使い勝手が悪い」38.20%、「借り主にとってのメリットが乏しい」が37.80%となった。

 このうち、「契約事務が煩雑」と回答した事業者に、具体的な内容を聞くと「期間満了の1年~6ヵ月前に契約終了を通知すること」が62.10%、「公正証書などの書面で契約すること」が60.00%など、手続きの全般に煩雑さを覚えていることが分かった。

 一方、定期借家制度を活用する場面・活用できると想定する場面については、「建て替えの予定に合わせる時」が70.30%で最も多く、「大規模修繕の予定と合わせる時」が27.00%、「入居者の生活態度に問題がある(だろう)と判断した時」が25.40%で続いた。

 定期借家物件の入居者と普通借家の入居者を比べた際の違いを聞くと、賃料支払いでは「特に違いがない」「物件によって異なる」が合わせて84.10%と大半を占めたが、滞納については「少ない」は15.50%、「多い」は0.40%と違いが表れた。住まい方のルールに関しても、「順守する人が多い」が10.80%、「順守する人が少ない」1.20%と差が出た。

 定期借家契約が満了し、再契約した割合は47.566%。再契約の際に徴収する金銭としては、「再契約料」が30.70%、「媒介報酬」が22.30%、「契約事務手数料」が51.00%となった。

 また、賃貸入居者に対して、定期借家制度の内容について聞くと、「まったく知らなかった」が67.7%で約3分の2を占めた。「内容は知らないが、定期借家制度があることは知っていた」が22.6%、「内容の全部または一部を知っていた」は9.7%にとどまった。

 現在の住まいで定期借家契約を結んでいる入居者は10.1%。定期借家で契約した理由について問うと、「気に入った物件が定期借家だった」が56.4%、「一時金が安かった」16.8%、「同程度の条件の物件と比べて家賃が安かった」23.8%、「契約期間が短期間だった」が8.9%となった。

この記事の用語

定期借家制度

新借地借家法(1992(平成4)年8月1日施行)の一部が改正されたことにより、2000(平成12)年3月1日に創設された制度。従来の新借地借家法では、一部の例外(期限付き建物賃貸借)を除いて、貸主側に建物の返還を求めるだけの正当事由がない限り、貸主は借家契約の更新を拒否することができないとされていた。

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