不動産ニュース / 政策・制度

2022/4/4

国交省、産業・都市の競争力強化に向けた方針案

 国土交通省は4日、新たな国土形成計画の策定に向け、国土審議会計画部会(部会長:増田寬也日本郵政(株)取締役兼代表執行役社長)の8回目の会合を開催した。

 同計画は、「ローカルの視点」(地域生活圏のイメージ等)、「グローバルの視点」(産業や大都市の国際的競争力、スーパー・メガリージョンの形成)、「共通の視点」(人材の確保・育成、インフラ、適正な国土利用等)のほか、「達成された社会の国土像」(デジタルによる補完・補強、カーボンニュートラルの実現等)に分類してまとめていく方針。今回は、このうち産業や大都市の国際的競争力、スーパー・メガリージョンの形成について検討した。

 事務局が発表した案では、産業の国際的競争力の強化に向けて、多様なプレイヤーの連携によるエコシステムの構築をはじめとしたイノベーションの創出、生産性向上に不可欠なDXへの徹底的な投資や海外需要の積極的な取り込みなど地域産業・企業の「稼ぐ力」の強化、意欲ある多様な人材の活躍などを掲げた。
 また、大都市圏は、産業・都市機能等の集積を十分に生かして国際競争力を高め、地方都市と連携しながら、日本経済をけん引すべきとした。医療・福祉政策や都市・住宅政策等の多様な政策を動員して、医療・介護需要の増大への対応に取り組むとともに、高齢者と子育て世帯等がともに安心して住むことができる地域づくりも求められる。具体的には、住宅団地の建て替えや再開発等による子育て支援施設・公園・緑地や職住・職育が近接する環境の整備、子育て世帯向けの良質な賃貸住宅の供給、若年世帯・子育て世帯の都市居住ニーズをかなえる住宅取得の推進などを挙げた。
 スーパー・メガリージョンについては、リニア中央新幹線開業による、三大都市圏の一体化による巨大経済圏の創造、中間駅周辺から始まる新たな地方創生などを掲げた。

 委員からは、「東京に産業が集積しすぎて、さまざまな弊害が起きている。産業をさまざまな都市に分散させるなど、東京が抱える課題を踏まえ、産業や都市のあり方を見直す必要がある」「東京の抱える課題は特有のもの。大都市として一括りにしない方がいい」「複数の都市でエコシステムの構築が必要。またエリアごとに産業の強みがあるとなおいい」「三大都市圏だけではなく札幌・仙台・福岡などの都市も大都市圏として検討していく必要があるのではないか」「投資家に評価されることを進めていけば、結果的に『稼ぐ』ことにつながる」などの意見が挙がった。

 次回は、4月26日に開催。適正な国土利用(国土利用計画)等について検討する。

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国土形成計画

国土の利用・整備・保全を推進するための総合的かつ基本的な計画で、国土形成計画法に基づき策定される。計画は、全国計画と広域地方計画で構成される。

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