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2022/5/9

つくば駅前にオフィス核にしたコミュニティ施設

コワーキングスペースや会議室は月極利用だけでなくドロップインでも利用が可能。周辺住民だけでなく、市内外企業のサテライトワーキングスペースとしての利用も見込む
オフィススペースを含め、施設全体は自由に回遊できるようになっている。各所には、ゆったりと回遊するためのベンチを設置。廊下の壁には、地元住民や筑波大学学生のアートを展示していく
オフィスはガラス張りとしており、企業アピールの場としても活用してもらう

 茨城県つくば市や(株)常陽銀行、地元企業などが出資する第三セクターである、つくばまちなかデザイン(株)は7日、オフィスやコワーキングスペースなどを核とした複合施設「co-en(コーエン)」をオープンした。

 つくばエクスプレス(TX)「つくば」駅に隣接し、同市等が保有する商業施設・ホテル等の複合施設「つくばセンタービル」の再開発の一環。1983年築の同施設は、TX開業前からつくばの中心市街地のランドマーク的存在だったが、近年はロードサイド店舗等との競合もあり店舗区画の空きが目立つなど求心力が低下していた。また、駅周辺にはオフィス床が少なく、コロナ禍の郊外志向の高まりの中で「駅周辺で仕事がしたい」という筑波大学OBのスタートアップ企業や周辺企業・住民のニーズに応えられていなかった。

 そこで同市は、これらのニーズに応えるオフィス・コワーキング施設を中心に、多様な人々が集う交流拠点となるビルの再開発を企図。その推進企業として、2021年創業の同社を指名。同社は、国土交通省の「老朽ストック活用リノベーション推進型まちづくりファンド支援事業」に基づき(一財)民間都市開発推進機構等が組成した「アセットリノベーションファンド」の第1号投資を受け、21年12月改修に着手した。

 同ビル1階部分の2,000平方メートルに、総席数84席のコワーキングスペース、70平方メートルのイベントスペース、オフィス7区画、ミーティングスペース、カフェ・シェアキッチンなどを設けた。総事業費は3億2,000万円。

 地域住民や企業に開かれた交流拠点として、施設内を自由に回遊できるようにしており、通路各所に小上がり(ベンチ)を設けている。オフィス区画もガラス張りとし、企業が来場者にアピールできるようにしたほか、廊下の壁には筑波大学の学生や地元住民のアートを展示する。シェアキッチンでは地元産の材料を使ったメニューを提供するほか、飲食店開業希望者がキッチンを使って調理した料理の販売、地元商店等によるワゴンセール、イベントスペースでのイベント共催などで、地元企業や住民を支援していく。また、隣接するホテルでの宿泊・飲食へのインセンティブを設けるなど、広く地域企業との連携を図る。

 オフィス7区画は、地元スタートアップなど5社による賃貸が決定済み。コワーキングスペースは、月額・ドロップインでの利用が可能。利用料金は、個人が月額1万円~、法人は3万5,000円~。ビジターのドロップインは、1時間400円。

 6日の記者会見で挨拶した同社代表取締役の内山博文氏は「今回のリニューアルは、単にオフィスという機能を整備するのではなく、“目的がない人達を招き入れ、多様な人々が偶発的に交流できる施設”を目指している。つくばというまちは、もともと多様性がウリだった。市民・学生、個人・法人、地域の内外問わず、さまざまな方々・企業に利用していただきける施設としていきたい」などと抱負を語った。
 また、来賓を代表して挨拶したつくば市長の五十嵐 立青(たつお)氏は「つくばの中心市街地の活性化を考える上で最大の問題だったのが、活性化の担い手となるプレーヤーがいなかったこと。補助金に頼ることなく持続的な事業として運営していくには、どうしても民間企業の力が必要だと、議会を説き伏せた。そして、わずか1年で施設を開業させることができた。この施設を、中心市街地活性化のきっかけとしたい」などと激励した。

 同社は今後、同ビル4階部分に、子育て世帯が子供と一緒に働くことができるワーキングスペースを整備する予定。

カフェのキッチンはシェアキッチンとしても活用。飲食店開業希望者がキッチンを使って調理した料理の販売、地元商店等によるワゴンセール、イベント共催などで、地元企業や住民を支援していく
「つくばというまちは、多様性がウリだった。市民・学生、個人・法人、地域の内外問わず、さまざまな方々・企業に利用していただきける施設としていきたい」などと抱負を語る内山社長

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