不動産ニュース / 開発・分譲

2022/9/20

環境配慮型の旗艦物流施設が竣工/三井不

「三井不動産ロジスティクスパーク海老名I」外観。木調ルーバーを用いている

 三井不動産(株)は20日、物流施設「三井不動産ロジスティクスパーク(MFLP)海老名I」(神奈川県海老名市)を満床で竣工。ZEB認証の取得などによりCO2排出量を実質ゼロ化した環境配慮型「グリーンエネルギー倉庫」のフラッグシップとなる施設で、同日、報道陣に公開した。

 圏央道「海老名IC」に隣接し、首都圏主要エリアへのアクセスに優れる。JR相模線・小田急電鉄小田原線「厚木」駅より徒歩11分に位置しており、人材確保にも有利な立地。従前は採石場で、敷地面積約5万4,847平方メートル、鉄骨造免震構造6階建て、延床面積約12万2,180平方メートル。倉庫エリアは約6,000坪。4階までのスムーズなアプローチを可能とするダブルランプ仕様で大型トレーラーにも対応する余裕をもたせたトラックバースを設けた。施設内にはテナント専用のオフィス区画ほか、共用部には解放感のあるワークラウンジやウェブ会議にも対応する個人ブースなども用意している。

 「グリーンエネルギー倉庫」として、各種の創エネと省エネの取り組みにより、建物全体の基準排出量と比較して122.6%のCO2削減を実現。省エネでは、地中熱を活用することで空冷エアコンに比べて30%以上の省エネ効果のある「地中熱ヒートポンプ」、湿度と温度が別々に調整でき、標準エアコンと比べて20%程度の省エネ効果のある「デシカント空調」、LED照明等の省エネ設備を採用。創エネでは、屋根に太陽光発電設備(設備容量約2,000kW、発電量約220万kWh/年)を設置し、発電電力を共用部およびテナント専有部へも供給。テナント専用オフィス部分については、地中熱ヒートポンプやデシカント空調などの採用によりCO2排出量を50%以上削減する。

 隣接する海老名運動公園との緩衝帯にはグリーンインフラを整備。敷地全体の20%、約1万平方メートルを「海老名の森」として約1,500本の高中木、約1万5,000本の低木類等の植栽により緑化した。地域景観への配慮として、近隣の海老名運動公園との境界には公園側から借景となる桜並木も整備している。また、水辺空間として、敷地内の雨水を一度貯留し、緩やかに外部へ排水する最大貯水量2,100立方メートルの雨水貯留池も設置した。

 施設デザインは、有機的なパターンを抽象化した外観ファサードや木調ルーバー、木の質感を生かした内装など、自然と調和するデザインを採用。施設エントランスやラウンジの仕上げ材には、グループで保有・管理する約5,000haの森林より生じた間伐材を活用した。

 新たな働き方提案への取り組みとして、屋上にはロジスティクス業界で初めて、(株)スノーピークビジネスソリューションズ監修によるスカイデッキを用意。入居テナントが野外会議や、交流会・懇親会などに自由に使えるアウトドアアイテムを設置し、テナントワーカー間のコミュニケーションを誘発する。

 また、地域に貢献できる施設を目指し、同ブランド初の試みとして、近隣住民に開放。施設開業前の9月25日にマルシェイベントとして、倉庫でのヨガ教室や小学生を対象とするランニング教室、間伐材工作プログラムなどを開催するほか、物流施設を見学できるスタンプラリーなどを開催する。今後も防災や環境などさまざまな観点から海老名市と連携を図り、単なる配送拠点ではなく、地域に開かれた学びの場を提供できるよう取り組みを継続していく。

 なお、同施設と同等でZEB認証取得の「グリーンエネルギー倉庫」としては「MFLP座間」に着工済。ZEB Ready、Neary ZEB取得の施設は現在7施設となる。

共用ラウンジのインテリアには間伐材を活用
施設エントランスの仕上げ材にも間伐材を用いている

この記事の用語

ZEB

消費する一次エネルギーが実質的にゼロである建物。英語のNet Zero Energy Building(ネット ゼロ エネルギー ビルディング)の略語である。

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