ザイマックス不動産総合研究所が14日に公表した市場レポート「コロナ禍で変わるオフィス面積の捉え方」(2022年)によると、22年は徐々にオフィス回帰が進み、オフィスへの出社1人当たりの席数が前年に比べて減少したことが分かった。出社人数が増えていることに加え、テレワークの普及によってオフィスの利用人数が減ったことで、座席数を実用的な数に減らす、効率化の動きがあったことが影響したとみられる。
コロナ禍を契機に働き方や働く場所が変化し、ワークプレイスの使われ方も大きく変わり始めている。固定席だけでなくフリーアドレス席等のフレキシブルな形が導入されていることから、出社率を考慮した上での席数をベースにオフィス面積を捉えるケースが見られる。そこで同社は、22年の4月と10月に実施した「大都市圏オフィス需要調査」の調査結果をもとに、東京23区に所在する企業の出社状況や出社率を加味した「人数」と「席数」の関係について分析、考察した。
22年の出社率は62.9%(前年度比3.0ポイント上昇)で、ハイブリッドワークが定着する一方、22年に入り徐々にオフィス回帰が進んでいる傾向が見て取れた。また、オフィスの出社人数が増加したことで22年の出社一人当たりの席数の中央値は1.67席(同0.18席減少)と、前年よりも減少した。
出社人数に対する座席の整備状況は企業によってばらつきが大きく、中央値である1.67席に対して、出社1人当たり3席を超える企業が21%と最多に。従来の在籍人数に基づいて整備された席数の調整ができておらず、余剰が生じている可能性もあるとしている。
コロナ禍収束後の出社率の意向についての平均値は68.5%。実態の62.9%から5.6ポイント増加しており、今後さらにオフィス回帰が進むことも考えられる。
これらを踏まえ、同社は今後のオフィス面積について考察。多くの企業はテレワークを継続する意向であることから、柔軟性を高めるなどして「出社率を低くすることによりオフィス面積を縮小する」企業がある一方、将来の人員増やオフィス回帰に対応するため「オフィス面積を拡張する」企業もあると予測。また、「多様なスペースの導入によりメインオフィスを再設計する」、「ハイブリッドワークの推進によりメインオフィスや在宅以外で働く場所を拡充する」といった施策がとられる可能性があると分析している。