(一財)日本不動産研究所は2日、「不動産取引市場調査」(2023年上期)の結果を公表した。JREITや東京証券取引所等の公表事例等を独自に集計し、01年上期以降、約3万4,700件の取引事例を収集してデータベース化している。
23年上期の不動産取引市場規模は、22年下期から反転して約2兆3,000億円まで拡大した。なお、市場規模は07年上期に約3兆円に達しピークを迎え、リーマンショックが生じた08年下期には約1兆円程度まで縮小。13年上期の金融緩和政策開始以降は大幅に取引が増加し、おおむね2兆円超えの状態を維持している。
アセットの構成については、オフィスの割合がやや減少した。一方で、将来の成長性やインバウンド回復に期待した物流やホテルの取引は、依然として活発な状況が継続中。
取引主体は、21年までJREITは一貫して買い越しを維持しており、JREITへの物件集約が進んでいる。JREITが一度不動産を取得すると、売却するケースは限定されることから、市場での需給バランスは安定化してきた。しかしながら、22年はインベスコオフィスジェイリート投資法人の物件売却や、JREITの取得金額の減少等により買い越しが減少。一方で、SPC・AM(私募ファンド等)の買い越しが増加しており、市場の私募化が進んだ。
23年上期は、外資系プレーヤーの取得減少などにより、SPC・AMが売り越しに転じたものの、JREITの買い越しは回復しており、プレーヤー層の厚さが示されている。
外資系プレーヤーの取得金額については、コロナ禍以降も取引が目立ち、22年上期は約1兆円と、07年上期を上回る過去最高額に。その後は、金利上昇への警戒感等から取得金額が減少。23年上期は約4,800億円にとどまっている。