積水化学工業(株)住宅カンパニーとリノベる(株)は24日、既存マンションのZEH水準リノベーションの提供を開始すると発表した。
両社は、2023年4月に資本業務提携を行ない、多角的な協業を目指して検討を重ねてきた。省エネ住宅のトップランナーである積水化学と、デザイン力に実績があるリノベるの強みを生かし、既存マンションの専有部でも対応可能なZEH水準のリノべを提案していく。
費用対効果の分かりにくさやノウハウ不足、各種認証取得等の手続きの煩雑さなどが普及の課題となっていたことから、ZEH水準リノベーションの可否を判断する事前物件チェックをはじめ、温熱計算、設計・施工、BELS(第三者認証)の申請、補助金の申請サポート・アドバイスを標準パッケージとしてワンストップで提供する。
断熱技術については、積水化学の断熱壁パネル工法「マルリノ」の特許断熱工法を標準採用。熱や水蒸気を通しにくい高断熱壁パネルを壁の内側に設置する独自技術で、ZEH水準の断熱性・省エネ性を実現するとともに、結露やカビの発生リスクを軽減する。また、不動産会社等の買取再販事業でリノベを提供する場合は、ユーザー向けの説明資料を提供して販売にも協力するほか、販売業務の受託も提案する。区分マンションの買取再販事業、個人向けのリノベ請負事業、法人向けのリノベ請負事業の3つのチャネルで展開していく。
23年10月に協業第1号案件の区分所有マンション「グリーンシティ鷺沼」(川崎市宮前区、総戸数32戸)が竣工。東急田園都市線「鷺沼」駅徒歩9分に立地。1982年築。鉄筋コンクリート造5階建ての分譲マンションの1室。専有面積66.6平方メートル。3DKから2LDKに間取りを変更し、広々としたLDKを設けた。BELS認証「ZEH Oriented」を取得。ZEH水準リノの追加費用は、300万円弱(税抜き)。年間光熱費はリノベ前より9万3,085円削減できる見込み。販売価格4,980万円(税込み)。すでに販売を開始しており、ファミリー層から数件の引き合いがあるという。
説明会でリノベる上席執行役員の三浦隆博氏は「3年後に年間200戸くらいを目標にしていきたい。まずは買取再販で実例をつくりながら、見学会やセミナーなど認知を広げていくことが必要だと考えている。対応エリアは、首都圏からスタートして、全国に進めていきたい」などと述べた。