不動産ニュース / 調査・統計データ

2024/5/23

流通各社の仲介実績、価格上昇により手数料増14社

 (株)不動産流通研究所は23日、主要不動産流通各社の2023年度仲介実績調査の結果をまとめた。不動産流通業界の動向を探る目的で、半期ごとに行なっているもの。主要不動産流通各社にアンケートを送付し、23社から回答を得た。(下に一覧表)

 今回、手数料収入を伸長させたのは14社で、2桁増となったのは4社だった。取扱件数は過半の13社で減少しており、依然として続く価格上昇によって業績をカバーできたという声が目立つ。

 トップの三井不動産リアルティグループは、個人・法人共に好調で、取扱件数はわずかに減少したものの、都心部をはじめとした全国的な単価上昇によって手数料収入が増加した。上期時点でトップの三井リアルに肉薄した東急リバブル(株)は、取扱高が個社として初めて2兆円を超えるなど好調。個人・法人共に都市部・郊外部の両面で件数・価格が上昇し、過去最高業績となった。3位の住友不動産販売(株)は近年伸び悩みが継続。しかし、営業拠点の統廃合をさらに進めたことによって営業効率の改善が進み、第4四半期には問い合わせ件数が増加し始めるなど明るい兆しが見え始めたという。続く野村不動産ソリューションズ(株)は、都心部を中心とした物件価格高騰を背景に営業スタッフ1人当たりの平均獲得手数料が過去最高水準に達した。

 個人仲介は、都心・郊外ともに活況という声が多かった。特に都心では、実需・投資需要が共に旺盛で、取扱件数・手数料収入を共に増加させた会社が目立った。三井リアルでは、湾岸エリアへの出店効果もあり、都心部では取扱件数・手数料収入共に2割近く増加。「価格調整を期待して様子見をしていたユーザーが、価格の高止まりが続くと判断して動き出した気配がある。また、都市部ではインバウンドの購入需要が活発で、インバウンドと海外居住者の件数はコロナ前の19年に比べて2割アップしている」(三井不動産リアルティ(株)取締役常務執行役員・岡村光浩氏)。

 一方、郊外エリアの一部では物件価格の上昇によって購入需要が弱含み、取扱件数が伸び悩んだという会社が多かった。「人気のあるエリアでは取扱単価が上昇し手数料収入をけん引した。しかし、駅遠の物件などで販売が長期化するなど、地域や条件によって二極化の傾向が出てきている」(ポラスグループ)、「首都圏都心エリアの物件価格は継続的に上昇している一方、23年後半から地方圏において取扱単価が前年同月を下回るケースも出てきている」(住友林業ホームサービス(株))などといったコメントが挙がっている。

 法人仲介では活発な市場環境が継続する中で、大型案件の取り込みに成功した会社が手数料収入を伸ばした。三菱地所リアルエステートサービス(株)は件数・手数料ともに大幅に増加し、東京建物不動産販売(株)は、取扱高10億円以上の取引が20件超と、業績をけん引した。

 24年度の見通しについては、23年度の好調さを維持するという見方で各社がおおむね一致した。「23年度後半にかけて都心以外のエリアで購入需要が少し鈍ったが、それでも前年並みは確保できた。24年度も都心エリアを中心に市場の好調さが継続するとみている」(前出・岡村氏)。

◆主要不動産流通各社の2023年度仲介実績

※三井不動産リアルティグループの手数料収入は、売買仲介・賃貸仲介、賃貸管理収益などを含む仲介セグメントの収益。東急リバブルの手数料収入は賃貸仲介および賃貸関連収益を含む。住友不動産販売、三菱地所ハウスネットの手数料収入は賃貸仲介含む。東京建物不動産販売と住友林業ホームサービスは23年12月期、積水ハウス不動産ホールディングスは24年1月期、ほかは24年3月期の数値。 ※増減は前期比

新着ムック本のご紹介

ハザードマップ活用 基礎知識

不動産会社が知っておくべき ハザードマップ活用 基礎知識
お客さまへの「安心」「安全」の提供に役立てよう! 900円+税(送料サービス)

2020年8月28日の宅建業法改正に合わせ情報を追加
ご購入はこちら
NEW

月刊不動産流通

月刊不動産流通 月刊誌 2024年7月号
建物の維持管理、今後重要視されます
ご購入はこちら

ピックアップ書籍

ムックハザードマップ活用 基礎知識

自然災害に備え、いま必読の一冊!

価格: 990円(税込み・送料サービス)

お知らせ

2024/5/23

「記者の目」を公開しました

記者が興味を持ったテーマを徹底取材する「記者の目」を更新しました。

今回更新したのは、「インフラゼロへの挑戦」。皆さんは、(株)MUJI HOUSEが、既存のライフラインに依存せず、エネルギーを自給自足できる設備を整えたトレーラーハウス「インフラゼロでも暮らせる家」の商品化を目指しているのをご存じですか?同社は昨年3月に実証実験「ゼロ・プロジェクト」を開始。2025年の実用化を目指し、今年4月にはプロトタイプを報道陣に公開しました。写真も交えつつをレポートします。「未来の家」が垣間見えるかもしれません。