森ビル(株)は23日、「東京23区の大規模オフィスビル市場動向調査2024」の結果を発表した。1986年以降に竣工した、事務所延床面積1万平方メートル以上のオフィスビルが対象。一般に公開されている情報を基に、2024年5月上旬までに実施した現地調査、聞き取り調査で供給量を算出した。
東京23区の大規模オフィスビルの供給量は、24~28年の5年間で408万平方メートルとなる予定。24年61万平方メートル、25年119万平方メートル、26年83万平方メートル、27年60万万平方メートル、28年86万平方メートルと推移する。24~28年の平均は、1年当たり82万平方メートル。1986~2023年の過去平均(103万平方メートル)を下回り、オフィス市場への影響は限定的になると考えられる。
23年の1物件当たりの平均供給量は8.4万平方メートルであり、13~22年の10年平均値4.8万平方メートルを大幅に上回る結果に。事務所床面積10万平方メートル以上・10万平方メートル以下を分類して集計した結果でも、「以上」の割合が23年80%、25年68%、26年66%、28年95%と推移する見込みで、オフィスビルの大規模化が進むとみられる。
24~28年の5年間について、主要ビジネスエリア別供給面積とそのシェアは、「日本橋・八重洲・京橋エリア」(71万平方メートル・17%)が最も多い。次いで、「丸の内・大手町・有楽町エリア」(56万平方メートル・14%)、「赤坂・六本木エリア」(46万平方メートル・11%)。なお、過去5年(19~23年)と比較して供給量の増加が見込まれるのは、大型バスターミナルなど、交通インフラと建物の一体的な整備や、ホテル・商業施設等を含む大規模開発が進んでいる「日本橋・八重洲・京橋エリア」(24万平方メートル増)、「赤坂・六本木エリア」(45万平方メートル増)、「品川エリア」(36万平方メートル増)であった。
23年は供給量が過去平均を超える水準となったが、23年末の空室率は5.8%(前年比0.1ポイント低下)と、4年ぶりの低下に転じた。吸収量(=前年末の空室面積+新規供給面積-当年末の空室面積)は、23年の供給量に匹敵する120万平方メートルに達しており、コロナ禍前(00~19年)の平均106万平方メートルを大幅に超えた。
主要ビジネスエリアの空室率は6.2%と上昇したが、23年の供給量107万平方メートルのうち、約7割の74万平方メートルはそのエリアで吸収されている。