住友不動産(株)は3日、「住友不動産飯田橋ビル」(東京都文京区)2〜4階にインキュベーションオフィス「GROWTH文京飯田橋」を開業した。スタートアップ支援のため敷金を抑え、家具やネット環境を完備した「GROWTH」シリーズの9施設目。
JR中央・総武線、東京メトロ南北線・有楽町線・東西線「飯田橋」駅徒歩5分、東京メトロ丸ノ内線・南北線「後楽園」駅徒歩9分に立地。文京区には国立大学法人東京大学をはじめ大学が17校、「東京」駅周辺には大企業が集積していることから、産学公の連携により、イノベーションを推進する。
技術の製品化・開発支援のため、2階オフィスにはスタートアップ企業が提供する製品・サービスを実装。ショールーム化し、入居・来訪するベンチャーキャピタルや事業会社の担当者に実際に体感してもらうことで、有用性や課題についてデータを蓄積できる実証実験の場とする。現段階で実装が決まっているのは、エイターリンク(株)のワイヤレス給電ソリューション「AirPlug」、デイブレイク(株)の特殊冷凍技術を活用した無添加おにぎり専門店の第1号店舗、(株)Spacewaspの3Dプリンター什器。
同物件の開業に際しては、「文京区と住友不動産における多様なスタートアップ、事業会社、教育機関等の交流促進に向けた連携協定」の締結式も開催された。同区長の成澤廣修氏は「『GROWTH文京飯田橋』を1つのきっかけに、スタートアップの大きな拠点がこの地にできればいい」と述べ、住友不動産常務執行役員ビル事業本部副本部長の橋爪弘幸氏は「この場所を起点にスタートアップの製品やサービスが広く社会に受け入れられて、売り上げや利益となり、雇用や税金として社会に還元されていくといった未来に向けた成長のお手伝いができれば」と語った。
また住友不動産は同日、スタートアップコミュニティ「Growth Connect(グロースコネクト)」を立ち上げたことも発表。オープンイノベーションに関心を寄せる大企業やスタートアップの他、既存のエコシステムに参加できていなかった企業をコミュニティに巻き込むことで、スタートアップと、大企業をはじめとする事業会社の成長を共に加速させる。具体的には、「GROWTH」内で開催されるピッチイベントやセミナーを通じてコミュニティに参画してもらうことで、偶発的な出会いを創出。その後は、同社が持つ独自のネットワークも生かしつつ、パートナー企業の掘り起こしや事業化に向けた動きを進めてもらい、最終的には製品・技術のプロモーションや販路拡大につなげる。