国土交通省は21日、空き家等の流通促進を目的とした「不動産業による空き家対策推進プログラム」を策定、公表した。
空き家などの急増が課題となる一方で、二地域居住などの新たな働き方・住まい方へのニーズが高まっている。また、空き家等を放置すると使用が困難となる上に、やがて周辺環境などに悪影響を及ぼすことから、「使える」空き家については、なるべく早く利活用を図ることが効果的と考えられている。
そこで物件調査、価格査定、仲介と、流通・利活用まで一括してサポートできるノウハウを有している不動産事業者が、所有者の抱える課題を解決し、また新たなニーズに対応するといった際にノウハウを発揮できるよう、同省において「不動産業による空き家対策推進プログラム」を策定した。
プログラムは「I 流通に適した空き家等の掘り起こし」と「II 空き家流通のビジネス化支援」で構成。
「I」では、他業への取次含めた所有者への助言サービスの強化や、空き家所在地から離れた地でも相談可能な体制整備といった「所有者への相談体制の強化」、空き家専門家の育成に係る業界研修の充実化、関係者とのネットワーク形成を念頭に置いた「不動産業における空き家対策の担い手育成」。その他「地方公共団体との連携による不動産業の活動拡大」「官民一体となった情報発信の強化」を掲げている。
「II」では、「空き家等に係る媒介報酬規制の見直し」「『空き家管理受託のガイドライン』の策定・普及」「媒介業務に含まれないコンサルティング業務の促進」「不動産DXにより業務を効率化し、担い手を確保」を盛り込んだ。
なお同日、「昭和四十五年建設省告示第千五百五十二号の一部を改正する件」が公布され、低廉な空き家等の売買に係る報酬上限の引き上げや、長期空き家等の賃貸者における貸し主からの報酬上限額が引き上げられた。施行は7月1日から。当該媒介に要する費用を勘案し、売買では、30万円の1.1倍を上限に報酬を受領できる。賃貸では長期の空き家について、原則により上限(貸し主・借り主から合計で借賃1か月分の1.1倍)を超えて貸し主から1ヵ月分の2.2倍を上限に受領できる。これに加え、「空き家管理受託のガイドライン」の策定・普及として、「不動産業者による空き家管理受託のガイドライン」を策定・公表。空き家等の活用等に係る課題整理、相続に係る相談、空き家等の活用方針の提案・比較といったコンサルティング業務については、媒介報酬とは別に報酬を受けることができることを明確化した。
プログラムおよび「不動産業者による空き家管理受託のガイドライン」はホームページで確認できる。