不動産ニュース / 調査・統計データ

2024/7/31

首都圏既存M、成約長期化で価格乖離率じわり拡大

 (株)東京カンテイは31日、2023年下期(7~12月)における首都圏既存マンションの「価格乖離率」に関するデータを公表した。同社データベースに登録されている既存マンションの売出価格と、その物件が成約した際の取引価格との差額を比率として算出。価格乖離率が正の値になるケースは極めてまれであるため、負の値になるケースのみを対象とした。売り出し開始から12ヵ月以内に成約した事例を集計している。

 当期の首都圏既存マンションの価格乖離率はマイナス6.23%(前期比0.01ポイント拡大)、売出価格が平均5,073万円だったのに対して、取引価格は4,757万円となった。14~20年はおおむねマイナス6%台で推移していたが、新型コロナウイルスの流行で一時的に市場が停滞した20年上期にマイナス7.15となったが、市場が活発化した21年上期にはマイナス4.63、同年下期にマイナス4.55と縮小した。それ以降徐々に拡大しているものの、過去10年の傾向と比べて決して大きな乖離率ではない。

 ただ、売り出しから成約までの期間(成約期間)を見ると、当期は4.15ヵ月(同0.40ヵ月増)と長期化。前年同期(3.22ヵ月)と比較しても、1ヵ月近く長期化しており、過去10年では14年上期、20年上期に次いで3番目に長い成約期間となっている。

 成約期間別の事例シェアは、1ヵ月以内で成約したのは31.7%(前年:40.7%)となり、短期間で成約する事例が大きく減った。2ヵ月以内は45.5%(同:55.5%)で、2回目の媒介契約期間が終了する6ヵ月以内での成約は77.8%(同:85.1%)と、こうした点でも成約期間の長期化傾向が見て取れた。既存マンション価格の上昇とともにユーザーの検討期間は長くなっていると言われており、「成約期間は来期以降も長期化しそうな気配がある」(同社)。

 成約期間ごとに価格乖離率を見ると、売り出しから1ヵ月以内に成約した場合はマイナス2.61%。価格乖離率0%の事例が4割超となっている。成約期間が7ヵ月を超えると価格乖離率が10%を超え、7ヵ月超8ヵ月以内は10.93%となり、価格乖離率が20%超という事例のシェアも15.6%となる。また、8ヵ月超9ヵ月以内は11.74%、9ヵ月超10ヵ月以内はマイナス10.93%、10ヵ月超11ヵ月以内はマイナス13.77%、11ヵ月超12ヵ月以内はマイナス11.36%。「2回目の媒介契約更新の以降、価格を下げて売り急ぐ傾向が見て取れる」(同社)。

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