パナソニック ホームズ(株)は5日、6月の定時株主総会等を経て就任した代表取締役社長の藤井 孝氏とのメディア懇談会を開いた。同氏の略歴は3月6日付のニュースを参照。1989年に当時のナショナル住宅産業(株)に入社した同社初のプロパー社長となる。
懇談会の冒頭、同氏は「当社の原点は、創業者の松下 幸之助の言葉である『良家』。住まいは人が生活していく上で一番大切なものという精神であり、社会に役立つ会社を目指してこれまで進んできた」と挨拶。今後の方針については、「人を中心とした住まいづくりの理念である『新・くらし文化の創造』を進めることで、豊かな暮らしと資産価値を次世代に受け継いでいく。そのために事業間連携を強化し、全事業のシナジーによって住まいの資産価値を最大化していく」などと話した。
さらに、創業者の「日本の家」という地域密着の家づくりについても言及し、4月からスタートした「日本の家プロジェクト」を説明した。自社の商品をベースに地域の気候風土やくらしの文化を組み合わせた地域商品づくりを進めるもので、その一環として岐阜エリアのスタッフが開発した「岐阜の家」を紹介。寒暖差の激しい岐阜県の気候に合わせて北海道のZEH基準を超える断熱性や、四季を感じさせる庭を楽しめる大開口のデザインなどを採用した。「創業者が話した『日本の家』という住まいづくりのコンセプトについて、改めて現場レベルで考えていくのが目的。注文住宅に限らず、賃貸住宅やまちづくりでの新たな提案などを求めており、コストも含めて地域の事情や特性に即した効率的な家づくりのための取り組みだ」(同氏)。
また、資産価値を次の世代に引き継ぐ住まいづくりの重要性に触れ、不動産流通事業の「スムストック」や買取再販事業の強化も打ち出した。不動産流通事業に関しては、「(一社)優良ストック住宅推進協議会を構成する住宅メーカー10社の中でも、取扱件数が少ない。独自の保証やインスペクションに関する検討を進めて強化していく」などと話した。
また、買取再販事業は、マンションや他社住宅の買取再販も含めて今期売上高約100億円を見込むなど好調。「例えば、当社が創業以来力を入れている換気や空気質については、当社が建設した既存住宅であれば、リフォームによる全館空調への入れ替えもでき、次のオーナーにも最新の快適性を届けることができる」(同氏)と話した。