不動産ニュース / リフォーム

2024/9/13

アーティスト2名と協業したリノベM/第一住建

アーティスト2名のアイディアでリノベーションされた室内
洋室床はOSB合板とべニア板を使い分け、その境目は皆川氏が染め上げたレースカーテンで仕切っている
キッチンとカウンターは1点モノで、海外製のタイルが張り込んである。カウンターは汚れてもいいように目地がグレー、キッチン壁は目立つように白と色を分けている(左が彫刻家の山﨑氏、右が皆川氏)

 (株)第一住建ホールディングスは12日、「アートリノベーションプロジェクト」の初弾となるリノベーションマンションを報道陣に公開した。単なるデザイナーズマンションではなく、リノベーションによる空間そのものをアーティストの作品として捉えているのが特長。10月1日から販売を開始する。

 CSR活動の一環として、2023年に立ち上げたもの。もともとは、才能の表現の場が少なく埋もれているアーティストやその作品が数多くあることを知った松尾社長が「当社の事業を通じて彼らを支援することができないか」と考え、「アーティストが手掛けた唯一無二の空間に住んでもらうことで、心豊かになっていただければ」(松尾氏)と、アートが生活の中に融合した空間をリノベーションで提案することにした。

 リノベーションしたのは、東急東横線「菊名」駅徒歩10分に立地する分譲マンション「クレベール菊名」(横浜市港北区、総戸数11戸)の1階住戸(専有面積67平方メートル)。彫刻家の山﨑千里氏と染飾アーティストの皆川百合氏が参加。両氏と同社スタッフ、施工を手掛ける工事業者が半年間にわたりディスカッションを繰り返し施工プランを練り上げ、竣工まで1年を費やした。

 3LDKの住戸をフルスケルトンとした上で、32平方メートルのLDKと24平方メートルの洋室の1LDKに改修。「私のアトリエを見学したいという人がものすごく多いことを思い出し、住居そのものをアトリエのような空間にしてみたかった」(山﨑氏)と、床には一般的には下地材であるOSB合板とベニヤ板(洋室)を使用。通常の生活に耐えられるよう、やすり掛けした上でニスで仕上げた。やすり掛けの具合やニスの塗り方など、数十パターンの組み合わせから選んでいる。OSB合板とべニア板の境目は山﨑氏が数ヵ所に杭を施工した。

 洋室の床の境目に合わせ、空間を間仕切るレースカーテンを設置。カーテンは皆川氏が染め上げた茅生地のものを使っている。「いつもは布の上で色を表現しているが、今回は空間にどのようにアプローチし、色をどう魅せるかを考えた」(皆川氏)。洋室のハンガーラックにも同氏の作品が架けられている。

 キッチン前やカウンター、トイレ壁面などには海外製のタイルを張り込み、キッチンとカウンターで目地の色を使い分けるなどした。リビングの出窓周辺も「植物に水をやりすぎてこぼれても大丈夫」(山﨑氏)なように、タイル張りとしている。

 玄関とリビングを仕切る袖壁やリビングと洋室とを仕切る壁には、好きな本やアートを飾るためのスペースを用意。「住む人がアーティストとして好きなアートを飾ったり、好きな暮らし方をすることで作品を完成させる」(同氏)ことを狙っている。室内空間の各所はR仕上げとしているほか、玄関から洋室にかけ天井高を少しずつ高くすることで、視覚的に空間の広がりを表現した。

 販売価格は、唯一無二のデザインであること、通常の買取再販物件の倍以上の事業期間がかかっていることなどから、周辺相場よりもやや割高な4,180万円とした。この物件の反響や、より効率的な事業の流れなどを検証しながら、第2弾・第3弾の取り組みについても検討していく。

玄関とリビングとを仕切る袖壁には好きな本などが飾れる棚を造作。その一部はくり抜かれ、玄関側に向け飾ることができるようにしている
「世に出ない埋もれたアーティストやその作品をわれわれ不動産業を通じて支援できないか考えた」と話す、第一住建ホールディングスの松尾社長

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