不動産ニュース / 開発・分譲

2024/10/17

広域渋谷圏のコンパクトビルを「再生建築」

「COERU渋谷イースト」。余剰容積を活用して建物正面部を増築。もともと共同住宅だった建物を店舗兼オフィスに再生した
オフィスは什器をあらかじめ備えたセットアップオフィス。内装に間伐材を使うなど、環境にも配慮
上層部をそのまま使うには消防法の2方向避難への対応が必須だったため、あえて減築。2層吹き抜けやルーフバルコニーで商品力を高めた

 東急不動産(株)は16日、都市型コンパクトビル「COERU(コエル)」シリーズで、(株)再生建築研究所との協業で再生建築の手法を導入した「COERU渋谷イースト」(東京都渋谷区)と「COERU渋谷道玄坂」(同)を報道陣に公開した。新築に加え既存ビルのバリューアップを併用することで、広域渋谷圏でのストック積み上げを加速。廃棄物削減や再生材の利用を通じて、環境課題解決へも寄与していく。

 「COERU渋谷イースト」は、JR線他「渋谷」駅徒歩8分に立地する、1972年築、鉄筋コンクリート造6階建て。竣工時は共同住宅で、近年はSOHOとして使われていたものを、2023年に同社が取得、耐震補強の上1階を店舗、2~5階をオフィスへ改修した。改修完了は8月下旬。

 竣工後に用途地域が変更となり余剰容積が発生していたため、建物前面のセットバック部分に、鉄骨造により増築。ガラス面を多くとったファサードでビル全体の意匠を一新した。また、5階以上は従前の床面積だと消防法上の「2方向避難」に対応しなければならないため、あえて減築。5階オフィスを2層吹き抜けとしたほか、テナント共用のルーフトップバルコニーとして商品力を高めた。延床面積は増築により100平方メートル余り増え、697平方メートル。

 オフィスは、あらかじめ什器を設置したセットアップオフィスとして提供。環境配慮として同社管理森林の間伐材を使用したほか、再生可能エネルギーも使用。既存ビルの再生により、廃材量を新築比89%削減している。オフィス部分は坪賃料3万円台後半~。1フロアを除きテナントは決まっている。

 一方「COERU渋谷道玄坂」は、JR線他「渋谷」駅徒歩6分に立地する、1986年築、鉄筋鉄骨コンクリート造地上10階地下1階建て、延床面積954平方メートル。従前はカプセルホテルとして利用されていたものを、店舗、公衆浴場、簡易宿泊所、オフィスの複合用途ビルへ改修した。改修完了は6月下旬。

 建物荷重を適正化するため3~10階部分の建物正面外壁を解体してサッシを新設。屋上看板も撤去するなどして、ファサードの意匠を一新した。1~3階の店舗・簡易宿泊所・公衆浴場(サウナ)は、(株)BAKERUと(株)ヒトカラメディアが借り上げ、運営。4階以上はセットアップオフィスとして、3フロアを除き稼働済み。坪賃料は4万円台中盤。立地から、ベンチャー企業等の引き合いが多いという。

カプセルホテルを再生した「COERU渋谷道玄坂」。建物正面の外壁を解体して大型のサッシを入れたことで、ファサードの印象は一新されている

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