(株)東京カンテイは31日、2023年の新築・既存マンション価格の年収倍率を算出して公表した。全国で分譲された新築マンション、流通した築10年既存マンションの70平方メートル換算価格を、内閣府の平均年収予測値と比較し算出した。
新築マンションの年収倍率は全国平均で10.09倍(前年比0.43倍拡大)と集計開始以来で初めて10倍を超えた。全国的に平均年収が上がった都道府県が多かったものの、マンション価格の上昇幅が年収のそれを上回っている。新築マンション供給のなかった青森県以外の46都道府県で、年収倍率が拡大したのは27都道府県、縮小が18府県、横ばいが1県だった。
三大都市圏では、首都圏が13.07倍(同0.60倍拡大)、近畿圏が11.32倍(同0.39倍拡大)、中部圏は9.27倍(同0.04倍縮小)となった。首都圏・近畿圏共に新築マンションの価格高騰が影響して倍率が拡大した。一方、中部圏は新築価格の上昇に比べて平均年収の上昇幅が上回った。
都道府県別で最も倍率が高かったのは東京都で17.78倍(同2.97倍)となった。平均年収が上昇したものの、高額物件の供給が多かったこともあり新築価格の平均が1億526万円(同23.0%上昇)と大きく上昇したことが最大の要因。2番目に高かったのは長野県の15.88倍(同6.31倍拡大)。軽井沢のリゾート物件に高額物件があったことから、県全体の平均価格を押し上げた。以下、京都府14.38倍(同0.72倍拡大)、佐賀県13.89倍(同6.25倍拡大)、神奈川県13.06倍(同0.64倍拡大)となった。18都道府県が10倍を超えた。
同社は「完全に売り手市場になっているため、価格が低下する要素が見当たらない。ディベロッパーのターゲットはダブルインカム層が基本。シングルや夫婦どちらかの一方の収入で購入しようという人たちは賃貸マンションに流れていくのでは」と分析する。
築10年既存マンションの年収倍率は全国平均で7.48倍(同0.21倍拡大)とさらに拡大したものの、拡大幅自体はコロナ禍以降で最小。新築との年収倍率格差は前年の0.32倍から2.67倍に急拡大した。年収倍率が拡大したのは24都府県。
三大都市圏では、首都圏が11.14倍(同0.07倍縮小)、近畿圏が9.17倍(同0.72倍拡大)、中部圏は6.85倍(同0.07倍縮小)。都道府県別では、東京都が15.11倍(同0.62倍拡大)で最も高く、ついで京都府13.07倍(同1.72倍拡大)、大阪府10.74倍(同0.29倍拡大)、神奈川県10.42倍(同0.01倍縮小)となった。10倍を超えたのはこの4都府県。