不動産ニュース / 政策・制度

2024/11/22

外部管理者方式に賛否/マンション政策小委

 国土交通省は22日、「社会資本整備審議会住宅宅地分科会マンション政策小委員会」(委員長:齊藤広子横浜市立大学国際教養学部教授)の2回目となる会合を開催した。今回は「管理計画認定制度のさらなる普及」「管理組合役員の担い手不足への対応」「多様な建て替えニーズへの対応」など初回会合で示された論点の議論に当たり、マンション関係団体の取り組みをヒアリングした。

 (一社)マンション管理業協会からは、協会独自の「マンション管理適正評価制度」の登録数が6,265組合に達したと報告。低評価を受けた組合が、高評価を目指すため役員が積極的に取り組んだ事例などを紹介し、マンション価値や管理を良くするモチベーションを高めるための指標となっているとした。また、会員の管理会社による外部管理者方式の取り組みの普及について、業務受託前には国のガイドライン等を詳細な説明を行なったり、総会議案上程前の意見交換会などを通じて、区分所有者の意見を反映できるようするといった取り組みをしているとした。2024年は会員113社が外部管理者管理を受託しているという。

 (一社)日本マンション管理士会連合会は、18年よりサービス提供している「マンション管理適正化診断サービス」について、2万1,714棟の実績があると発表。診断の結果3段階評価の最上位「S」と次点「A」評価のマンションは専有部の火災保険が割引になることが管理を診断・評価してもらうインセンティブになっているとした。また、外部管理者方式によりマンション管理士が管理組合資産口座の銀行印を預かるような場合、その管理士の不正行為による組合の損害を3億円まで補償する「管理組合損害補償金給付制度」を、適正なマンション管理会社管理者業務を担保する制度として紹介した。

 マンション管理会社による外部管理者管理について一貫して反対の立場を取っている、特定非営利活動法人全国マンション管理組合連合会は、役員のなり手がいない、大規模修繕や管理規約改正などの重要案件に対応できないといった管理組合に理事長や理事等を派遣する取り組みの実績を報告。これまで20年間で40の管理組合に理事等を派遣しているとした。派遣者は、金銭の取り扱いや重要な規約改正等は受託せず、あくまで管理組合の主体性を維持しながら管理組合の課題を解決。理事会運営が軌道に乗った26管理組合は派遣を終了しているとした。「役員のなり手が不足していると言われているが、不足しているのではなく“なりたくない”という意識の広がりが問題。また、理事長等を派遣している管理組合の大半が管理会社と管理委託契約を結んでいる。管理組合だけでなく管理会社の教育もしているのが現状」(同連合会会長・畑島義昭氏)。

 (一社)マンション計画修繕施工協会は、既存住宅流通市場で適正な維持管理をなされたマンションが適切な評価を受けるため、竣工後の計画修繕工事履歴の届け出を義務付けるべきと訴えた。また、(一社)不動産協会は、マンション建て替えにおける合意形成や許認可取得に長期間を要すること、建て替えを阻害する「形態規制」が多いこと、建て替え後の住戸面積要件が過度な負担となりユーザーニーズにもマッチしていないことなど、マンション建て替えの阻害要因の見直しを訴えた。

 同委員会は、12月20日に3回目の会合を開き、とりまとめ案を議論する。

この記事の用語

第三者管理方式(マンション管理における)

外部管理方式(マンション管理における)を参照。

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