記者の目 / 開発・分譲

2018/3/13

全室4名以上! グループ客に特化したホテル

 観光庁の「2017年訪日外国人動向調査」によれば、17年の訪日客数は約2,869万人。ASEAN地域の人口増に支えられ引き続き順調に増加する見込みで、政府は20年に4,000万人、30年に6,000万人の目標を掲げている。 この旺盛なインバウンド需要を受け、ラグジュアリー、宿泊特化型、バジェット型など各社ホテル開発に注力する中、(株)コスモスイニシアは、“グループ需要”に着目し、全室4名以上をウリとするホテルブランド「APARTMENT HOTEL MIMARU」を展開。2月8日、初弾となる「MIMARU東京 上野NORTH」(東京都台東区、総客室数40室、以下、「上野NORTH」)をオープンした。

インバウンド客はグループ客が半数以上に着目

 「上野NORTH」はJR「上野」駅徒歩8分に立地。敷地面積約407平方メートル、延床面積約334平方メートル。鉄筋コンクリート造地上8階地下1階建てのオフィスビルをホテルにコンバージョンしている。

 同社は、新規ホテルブランドの企画に当たり、前述の観光庁調査で、3~4名以上と思われるグループ客の「家族・親族」(36.4%)、「友人」(24.5%)が合わせて半数以上を占めている状況に着目。東京や関西都市部で3名以上に対応する宿泊施設が少ないことから、東京、京都、大阪を対象エリアに、建築プランや用地取得において同社のコア事業であるコンパクト分譲マンション事業とシナジー効果が高い1LDKタイプを中心に、全室4名以上で利用可能なアパートメントホテルを採用したという。飲食施設を伴わず、連泊するグループ客が対象の施設とすることで運営効率を高め、開発敷地最低100坪の大手と競合しにくい小規模のホテル運営を実現している。

全客室内にミニキッチンとダイニングで“暮らすように滞在”

 客室は「和」を意識したデザインを採用。「上野NORTH」では34.14~52.61平方メートルで4~6名が宿泊可能な5タイプ全40室を用意した。

 “暮らすように滞在する”を標榜しており、全客室内にミニキッチンとダイニング空間を確保、電子レンジや電気ケトルほか食器・ナイフ、フライパン等の調理器具も用意する。
 また共用部にはランドリースペースも備えており、アイロンや掃除機などのレンタルサービスも提供する。

客室内に人数分の食器も用意

 省スペース・リーズナブルな宿泊料金を実現するべく2段ベッド(bunk-bed)を導入。宿泊料金はルームチャージとし、人数に関わらず同額に設定している(設定人数以上は要エクストラチャージ)。ツイン+2段ベッドの4人部屋「DELUXE4 with bunk-bed」が40戸中の約8割を占め、宿泊料金は2万円台後半~3万円台後半(1室当たり)。4人部屋はこのほか4ベッドルームの「DELUXE4」も用意した。

 6人部屋では、4ベッド+2段ベッドの「DELUXE6 with bunk-bed」(宿泊料金は4人部屋+1万円が目安)ほか、高級感を出した広いキッチンのある「PREMIUM6 with bunk-bed」と和室を設けた「JAPANESE PREMIUM6 with bunk-bed」(宿泊料金は4人部屋+1.5万円が目安)を1室ずつ用意している。なお、バス・トイレは全室セパレートタイプを採用した。

4人部屋スタンダートタイプ「DELUXE4 with bunk-bed」
奥にダイニングスペース
広いキッチンが特長の「PREMIUM6 with bunk-bed」

通話かけ放題のスマホ、AIコンシェルジュで快適な滞在をサポート

 中長期滞在を見込み、周辺エリアを自由に楽しんでもらいたいという意図から、持ち出し可能なスマートフォン「handy」を1室につき1台貸し出す。国内通話かけ放題(一部国際通話もかけ放題)で、地図や観光スポット、周辺エリアの飲食店、コンビニなどの情報が閲覧できる。地元商店会と連携した情報提供など、今後はよりエリアに特化したサービスも提供していく予定。

 フロントでは日本と英語で対応。そのほか、12ヵ国語対応の通訳アプリも導入する。さらに、困ったことや知りたい情報を気軽にチャットを通じて問い合わせることができるAIロボットコンシェルジュも導入し、快適な滞在をサポートする。

「handy」画面イメージ
フロントでは和を意識したお土産向きの小物も販売

狙い通りグループ需要が9割以上、反響は想定以上

 17年11月15日よりbooking.com、agoda、じゃらん等の宿泊施設予約サイトで予約を開始。ブランド名がほとんど認知されていない状況でのスタートだったが、2月中の予約状況が稼働率7割弱と「想定以上の稼働率」。3・4月は現状でそれを上回っており、さらにアップする見込み。平均滞在日数は約3日とのこと。
 また、インバウンド比率は9割で、グループ需要が9割以上と狙い通りだという。台湾、香港、タイ、アメリカ、オーストラリアなどからの旅行客が多く、客層はファミリー層が7~8割を占め、年代は30歳~40再代前半が中心。
 今後は、SNS等での拡散を見込み、FB上で直接予約できる仕組みなども考えていく予定だ。

◆◆◆

 同社では現在、新規開発17棟878室を開発しており、競合他社に先駆けて事業を展開することで優位性を出すのが狙い。続いてオープンする「赤坂」や「日本橋水天宮前」では5人部屋を用意し、ソファーベッドタイプや和室に布団を敷くタイプを採用し、今後はどのタイプが評価されるのかを見ながら展開していくという。
 見学時には「連泊を意識している割に大型のスーツケースが置ける荷物スペースがほとんどない」「6人部屋にトイレ一つは少ないのではないか」など、いくつかの気になる点はあったが、日本には確かに4名以上に対応する宿泊施設が少なく、需要は確実にありそうだと思えた。旅館や民宿のような1人当たりの料金設定ではなく、大勢で泊まるほどリーズナブルなルームチャージ制を採用しているのも評価されそうだ。
 また、同社では同ブランド以外に、試験的に東京・竹橋で1年以内に竣工予定のカプセルホテルも開発しているとのこと。あくまでもアパートメントホテルを中心に展開するとのことだが、新しいタイプのホテルが出てくる可能性もあり、新たなコンセプトのホテルが出てくることに期待したい。(meo)

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