記者の目 / リフォーム

2018/7/23

地方で人気の買取再販商品

個人からの仕入れを強化し、リーズナブルな価格を実現

 近年、人気を集めている買取再販型のリフォーム済み戸建住宅。しかし、地方都市では、新築物件との価格差があまりなく、価格面でのメリットを打ち出すことが難しいため、なかなか普及してこなかった側面もある。1969年の創業以来、地域密着で営業する(有)山陽不動産(広島県福山市、代表取締役社長:溝入和子氏)では、価格を「既存戸建住宅以下」に設定することで、10年以上人気商品として供給している。

◆一次取得者層の手に届く価格設定

一次取得者層が買い求めやすい商品を提供(写真提供:(有)山陽不動産)

 2004年頃から事業をスタートし、当初は年数件ペースだったが現在は月2~3棟ペースで販売。エリアも福山市だけでなく周辺エリアにも拡大するなど、人気を集めている。そのポイントの一つが価格設定。同エリアは、流通する既存住宅が2,000万円から、建売住宅が10坪程度で2,300万~2,400万円からという相場で、同社の商品は1,600万~2,000万円と既存住宅よりも低い価格設定とすることで、人気を集めている。

 同事業開始の背景には、同エリアの一次取得者層が無理なく安心して購入できる物件が少なかったことにある。
 同商品の顧客は、世帯年収がおおよそ350万~400万円で、6万~7万円のファミリー向け賃貸物件からの転居者が多い。賃貸住宅の賃料設定は相場からみても比較的高めで、持ち家に引っ越したいと考える人が多いそうだ。また圧倒的に戸建て志向が強い。「しかし、建売住宅は年収に対しては割高のものが多く、既存住宅では不安と考える人が多い。当社のリフォーム済み戸建住宅は、低価格ながらも水回り等お客さまが不安になる点はすべて刷新。瑕疵担保保険も付保しています」(同社取締役副社長・角田千鶴氏)。月々のローン支払いも賃料より下回るという設定だ。

◆買い取りニーズに応え、即現金化

 低価格を実現しているのは好調な仕入状況に起因している。同社では、個人からの売却希望のあった物件を同商品に活用している。12年には「不動産買取センター34」という専門部署を設け、弁護士や司法書士等の専門家に相談しながら売却できる体制を築いている。同エリアでは、不動産を買い取る会社が少ないこと、また長年にわたる同商品の実績から、ここ数年でさまざまな個人や仲介会社から買取依頼を受けるようになった。「安くてもいいから早く現金化したいというニーズは高い。当社では10日以内で現金買取を行なっています」(角田氏)。

 18年6月からは、弁護士と司法書士と協力して、相続のワンストップサービスも提供開始したことから、相続物件の中から買い取り案件も増えていくとみている。

◆シンプルなハコが人気

水回りはすべて刷新(写真提供:(有)山陽不動産)
シンプルな内装にワンポイントクロスでアクセント付け(写真提供:(有)山陽不動産)

 商品デザインは当初からほぼ変えていない。購入者が自分好みな空間にできるシンプルな空間が人気だという。

 水回りはすべて刷新するが、内装は表面材を変更する程度。白を基調に仕上げ、アクセントクロスを採用する、玄関には絵画や花瓶が飾れる空間をつくるなど、ポイントをしぼって女性視点ならではの工夫も入れている。「当エリアでもリノベーション物件は増えており、中には個性的な空間もありますが、一般的にはシンプルな空間が好まれる傾向にあると思います」(同氏)。希望があればそこからさらに追加リフォームも受け付けるなど、柔軟な対応も行なっている。

 こういった商品づくりから、オープンハウス開催時には行列ができることもあり、3ヵ月以内には買い手が付いている状況だ。近年は大手の参入もあるというが、価格設定が同社商品よりは高い価格帯のものが多く、競合には至っていないそうだ。「今後も地域ニーズを踏まえながらコンスタントに供給していきたい」(同氏)。

◆◆◆

 4月から「安心R住宅」制度がスタートし、一定レベル以上のリフォーム住宅が一目で判別ができる市場整備も進んでいる。一次取得者層の世帯年収がなかなかアップしない一方、新築住宅価格の高止まりが続く中、今後、ますますリフォーム済み住宅に注目が集まるだろう。地方では空き家も増えており、さまざまな課題はあるが、工夫すれば買取再販ビジネスのチャンスはますます広がっていきそうだ。(umi)

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