記者の目 / 開発・分譲

2018/8/15

愛犬を健康に! 進化する愛犬同伴ホテル

 (株)矢野経済研究所の調査によれば、日本の2017年度のペット関連市場規模は1兆5,135億円。ペットの飼育頭数は近年伸び悩んでいると言われている一方で、1世帯当たりのペット関連支出は増加しており、参入各社は高付加価値商品・サービスの提案に注力する。そんな中、13年からハイグレードな愛犬同伴型リゾートを展開する東京建物リゾート(株)は7月2日、“愛犬の健康”をウリに8施設目となる「レジーナリゾート鴨川-Dog Wellness Beach」(千葉県鴨川市、総客室数:25室)をオープン。レジーナシリーズで初めて「ドッグフィットネス」を導入した。

愛犬1頭1頭に合わせたフィットネスで高齢化対策

 「ドッグフィットネス」は、毎日の散歩だけでは得られない愛犬の筋力や柔軟性、バランス力、メンタルなどを向上させることを目的とした施設。

 まだ日本では3台しかない、これまでは動物の医療施設にしか導入されていなかったアメリカSwimEx製の犬用流水プールを導入し、トレーナーが愛犬1頭1頭に合わせたアクアフィットネスを提供。水の抵抗により無理のない筋力運動が可能となり、流水によるマッサージ効果、水圧による循環器機能向上などの効果が望めるという。また、バランスボール、ペット用ウォーキングマシンなどさまざまなフィットネス器具を用いた全身運動、体幹トレーニングなどのプログラムも提供する。こうした運動の効果は筋力アップのみならず、運動させることで、引っ込み思案が緩和したり不安症の愛犬が心を落ち着かせられるケースもあるそうだ。

 施設やプログラムの監修は、アメリカで動物行動学を学び、犬のリハビリテーション理論と技術を日本に導入した第一人者である(一社)アニマルライフパートナーズ協会代表の山田りこ氏が務めた。
 同氏は「ワンちゃんも高齢化の時代。病気を予防する体力づくりが大切になってきます。日本には動物病院はありますが、当施設のような体力づくりを目的とした施設はほとんどありません」と語る。

 そのほか屋外にも愛犬用プール(夏季限定)、天然芝ドッグガーデンを設置。同ホテルは敷地面積4,346平方メートル、延床面積2,992平方メートルだが、犬専用スペースは愛犬預かり所なども含めて計約180平方メートルに及ぶ。

アメリカSwimEx製の犬用流水プールを導入。愛犬1頭1頭に合わせたアクアフィットネスを提供する
バランスボールなどさまざまなフィットネス器具を用いた全身運動、体幹トレーニングなどを行なう

鳴き声がもれにくい設計、臭いやひっかき傷が残りにくい客室

 愛犬と泊まれる客室は、広さ40~60平方メートルの3タイプを用意。従来のレジーナ同様、ゲージ、マットレス、トイレトレイ&シート、足拭きタオルなど愛犬用備品を備え、飛び出し防止ドア、換気機能付き汚物ポットも設置した。

 同ホテルでは鳴き声が室外に伝わりにくいよう、室内設計にL字を採り入れ、ドアも防音効果の高いものを使用。床材にはマーキングの跡や臭いが残りにくい資材を用い、室内にはツメで引っ掻いても傷の残りにくい新素材を用いたソファを設置した。備品を汚損破損した際などには保険で対応する。

 また、レストランやバーも愛犬同伴で利用できる。愛犬のサイズに合せS(60g)~L(240g)サイズから選べる各種メニューや、ノンアルコールの愛犬用カクテルなどを用意している。そのほか「愛犬ともっともっと仲良くなれる」という同施設のキーコンセプトに合わせ、愛犬との距離を縮めるマッサージレッスンなども提供する。

愛犬と宿泊できる客室イメージ(「コーナーデラックス」タイプ)
客室内にゲージ、マットレス、トイレトレイ&シート、足拭きタオルなど愛犬用備品を備える
愛犬同伴で利用できるバーでは愛犬用カクテル(右下)も提供

初の海沿い型施設。フロント、客室からは一面の海

 同ホテルは「レジーナリゾート」として初の海沿い型であるのもウリのひとつ。

 海に面する立地を最大限に生かし、海と建物とのつながりを重視した設計を取り入れた。フロントの大開口の窓外には、砂浜が見えないようインフィニティプールのような効果を持つ水盤を設置し、あたかも窓外に海一面が広がっているように見える設えに。その上でフロントにつながるエントランスでは、透明扉の内側に館内が見えない扉を設置し、内側の扉が開いた瞬間に海が一望できるような演出を施している。
 客室は全室、海に対する開口部を広くとった間取りで、海を見ながらくつろげるよう、椅子とテーブルを設置したワイドテラスも用意。海の見えるビューバスも導入した。

 なお、同ホテルの稼働状況については、同リゾートシリーズの会員組織「レジーナドッグクラブ会員」を中心に7月の稼働率は約8割となっており、8月も同等程度に達する見込み。9月に関しては現時点で週末が順調に埋まっている状況だという。今後は会員外への周知を図り、一般客の獲得にも注力していく予定だ。

JR「鴨川」駅より約2 kmに立地。鉄筋コンクリート造5階建て。海に面して建つ
全室で海に対する開口部を広くとった間取りを採用
バスは海の見えるビュータイプを導入

◆◆◆

 果たしてこの“愛犬の健康”がどれほど響くのか。記者は犬を飼ったことがないため、内覧会の際、実際に愛犬を連れて試泊していた方々に話を聞いてみたところ、老犬を飼っていると思われる人ほど健康面での関心は高く「こうした施設が増えて欲しい」という要望が多かった。
 一方「ドッグランに屋根があると雨のときでも利用できるので、雨天でも運動できるスペースが欲しい」「利用できる時間帯が限られているので、例えば早朝など、それ以外に24時間、運動させられる場所があるとなおいい」といった意見も聞かれた。健康面以外では「愛犬と一緒に食事がとれるのが嬉しい」「室内の飛び出し防止ドアや臭いのもれにくい汚物ポット、鳴き声が漏れにくい設計がありがたい」という好意的な声とともに「中型犬以上のサイズでも自由に動き回れるような、もっと広い部屋もあれば」といった要望も。なかなか厳しい意見も含まれるが、裏を返せばそれだけ愛犬を運動させることや愛犬と宿泊することへの関心が高いと思われる。
 愛犬と泊まれるホテルや旅館が増加する中、 “ハイグレード”にさらなる差別化の要素が求められるようになってくるのだろう。今後の「ドッグフィットネス」展開については同施設の反響をみてからとのことだが、“健康”の次はどんな要素がくるのか。新たな角度のサービスが登場することに期待したい(meo)

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