(株)さくら事務所は、新しい中古住宅の仲介手法「No.8」を考案し、自社の売主媒介案件に導入。2日、同手法で仲介する物件を報道陣に公開した。
「No.8」とは、「売り主、買い主、仲介事業者全員にメリットのある売り方」(同社執行役員・田中 歩氏)として同社が考案したもの。中古物件の販売時に、現状での中立的な価格査定を実施し、さくら事務所は売り主と媒介契約とコンサルティング業務委託契約を締結する。コンサルティングでは、その物件の販売をバックアップするための、最低限の工事やクリーニングを提案し、実践。さくら事務所は工事費用の15%をコンサルフィーとして受け取るというもの。工事費は、売買が成立し決済実行まで、さくら事務所が立て替えるため、売り主にとっては売却に際し資金調達などを必要としない。
「転売業者へ販売すると、かなり安価での売却となることが多く、また売り主が自らリノベーションして販売するのは資金面の負担が大きい上に、リノベーションのためのノウハウにも乏しいため容易なことではない」(田中氏)。同手法により売り主にとって、最低限の投資で市場価格での売買が実現できるというメリットが生まれる。
また買い主にとっても、作り込まれた物件、自分の好みと必ずしも合致しない物件ではなく、自らの希望に応じたリノベーションを実施する物件を入手できるという。
なお、売り主のリスクヘッジを行なうために、コンサルフィーの掛け率を高くすることで、成約価格が想定価格より下回った場合、それに応じて仲介手数料を減額するプランも用意している。
この手法を用いて今回、東京・豊洲の分譲マンションを仲介する。東京メトロ有楽町線「豊洲」駅徒歩11分、14階建ての10階に位置する、専有面積は約119平方メートル。
1981年8月築と古く、角部屋で2面採光であるにもかかわらず、部屋割りにより採光が奥まで届かず薄暗い印象であることから、これをそのまま市場に流通させても、市場価格では購入希望者が現れないことが予測されること、老朽化して薄暗い空間を見ても、購入希望者はイメージがわきづらいと判断。一部の間仕切りの撤去と、天井、床、壁についてもLDK部分を中心に一部スケルトン状態とする工事(工事費用100万円)を提案し、実践した。
同物件の販売価格は5,100万円で、「仕入れ事業者に販売するよりも高い価格設定」(同氏)だという。
同社では、この手法での販売を今年度10件程度を見込んでいる。代表取締役の大西倫加氏は「こうした販売手法が広がれば、中古住宅を買いたいという人にとっての選択肢を広げることにもつながる。中古住宅市場を拡大させるためにも、この方法を広めていく」と語った。