不動産情報サービスのアットホーム(株)は11日、「地場の不動産仲介業における景況感調査(2018年1~3月期)」を発表した。
北海道、宮城県、首都圏(1都3県、東京都は23区と都下)、静岡県、愛知県、近畿圏(2府1県)、広島県、福岡県の13都道府県14エリアにおいて、前年同期と比較した業況判断指数(DI)を算出。「50」を前年並みとする。アットホームの全国不動産情報ネットワーク加盟店のうち、都道府県知事免許を持ち5年を超えて不動産仲介業に携わる2万4,409店の経営者層を対象にインターネットで調査した。調査期間は3月15~25日、有効回答数は1,103店。
当期の賃貸仲介の実績DIは、首都圏が49.1(前期比5.9ポイント上昇)、近畿圏は46.8(同3.1ポイント上昇)といずれも上昇した。首都圏では、東京23区と神奈川県でDIが50を超え、全体では調査開始以来の最高値を記録した。近畿圏では、京都府と大阪府で40台後半となり、兵庫県も40台半ばまで上昇した。その他の6エリアはいずれも40台。
18年4~6月期の見通しDIは、首都圏が42.0、近畿圏が43.9といずれも今回の実績DIよりも低くなった。地域別では、広島県を除く全エリアで見通しDIが実績を下回っており、総じて慎重な見方になっている様子がうかがえる。
回答した不動産会社からは、「都会からの田舎暮らしも増えた」(千葉県館山市)、「低価格帯のシングル向けの動きは弱いが、高価格帯のファミリー向けが成約しているため単価が上がっている」(東京都府中市)、「物件供給数が震災前より増え、供給過剰に陥った」(仙台市)などのコメントを得た。
売買仲介の実績DIは、首都圏が46.9(同0.7ポイント低下)、近畿圏が48.4(同0.9ポイント上昇)。首都圏でDIが低下したのは6期ぶり。埼玉県、千葉県、東京都下でDIが上昇し、中でも埼玉県では55と高かった。半面、東京23区と神奈川県は低下しており、首都圏全体での低下につながった。近畿圏は緩やかな上昇が続いた。京都府は4期連続、兵庫県は2期連続の50超で、大阪府も上昇している。その他6エリアでは、静岡県で52.9を記録したほか、宮城県以外は40台後半となって明るい兆候が出てきた。
見通しDIは、首都圏が46.8、近畿圏が49.0。14エリア中8エリアで今回の実績DIを上回り、やや楽観的な見方が広がってきた。埼玉県、千葉県、京都府、静岡県、愛知県では50を超えている。
不動産会社のコメントでは、「購入意欲が強い」(さいたま市)、「価格高騰で買えるお客さまが限られる」(東京都品川区)、「東洋系外国人の投資用物件の購買意欲は依然として強い」(大阪市)、「とにかく安い物件が売れる」(浜松市)等の声が上がった。