不動産ニュース / 政策・制度

2018/6/18

所有者不明土地、年度内に制度改正内容示す

 政府は15日、「未来投資戦略2018 -『Society 5.0』『データ駆動型社会』への変革-」を閣議決定した。

 17年12月に閣議決定した「新しい経済政策パッケージ」では、「Society 5.0」の実現に向けて、20年までの3年間を生産性革命・集中投資期間と設定。大胆な税制、予算、規制改革などあらゆる施策を行なうことで最先端の取り組みを伸ばし、日本経済全体の生産性の底上げを図るとしている。これを受け、「未来投資戦略2018」では、第4次産業革命の技術革新を存分に取り込み、「Society 5.0」を本格的に実現するため、これまでの取り組みの再構築、新たな仕組みの導入を図るとした。

 変革の牽引力となる「フラッグシップ・プロジェクト」として、「次世代モビリティ・システムの構築」「次世代ヘルスケア・システムの構築」「『経済活動の糧』関連」「『行政』『インフラ』関連」「『地域』『コミュニティ』『中小企業』関連」のプロジェクトを挙げている。

 「行政」「インフラ」関連では、既存建築ストックの有効活用を促進するため、来年夏頃を目途に事務所を商業施設に用途変更する場合等の防火・避難の規制について、安全性を確保した上で合理化する。不動産投資市場の環境を整備し、不動産ストックの量的・質的な向上を推進するため、本年度中に、地方における不動産の有効活用等を検討する地方協議会の設置、不動産クラウドファンディングに係る業務管理体制や情報開示に係るガイドラインの策定、対象不動産変更型契約に係る規制の合理化等を行なう。

 また、所有者不明土地等について、土地の管理や利用に関し所有者が負うべき責務やその担保方策、所有者が不明な場合を含めて地籍調査を円滑かつ迅速に進めるための措置、相続登記の義務化等を含めて相続等を登記に反映させるための仕組み等について検討し、本年度中に制度改正の具体的方向性を提示した上で、20年までに必要な制度改正の実現を目指す。変則的な登記の解消を図るため、必要となる法案の次期通常国会への提出を目指すとともに、今後の体制を速やかに整備する。また、遺言書保管制度の円滑な導入、登記所備付地図の整備などの取組を進めるとともに、住民票等の除票の保存期間の延長についても引き続き検討する。

 デジタル・ガバメントの実現(行政からの生産性革命)の一環で、「不動産取引関連サービスのデジタル化」を挙げており、登記時の添付書類(売り主の印鑑証明書)の削減、電子契約の活用に向けた環境の整備を推進。国土交通省においては、法人間売買におけるITを活用した重要事項説明の実施について本年度中に結論を得るとともに、その検討状況も踏まえつつ、IT活用に向けた周辺環境整備を進め、オンライン化を推進するべきとした。

 そのほか、今国会に提出した「特定複合観光施設区域整備法案」により、国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現し、世界最高水準のカジノ規制等によって「日本型IR(特定複合観光施設)」に対するさまざまな懸念に万全の対策を講ずる。今後、関係政省令等の整備や世界最高水準の規制の執行体制の整備等に着実に取り組み、政策効果を早期に発現させるとともに、依存症などのさまざまな懸念への万全の対策を的確に実施する。

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重説IT化

不動産取引における重要事項説明を、インターネット等を活用して対面以外の方法で行なうこと、またはその方法を導入すること。 重要事項説明は、宅地建物取引士が対面で行ない、書面を交付しなければならないとされていた(宅地建物取引業法)。

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