不動産ニュース / その他

2019/4/22

「住み続けられる国土」、3ヵ年のとりまとめ

 国土交通省は19日、国土審議会計画推進部会「第14回住み続けられる国土専門委員会」(委員長:明治大学農学部・小田切 徳美教授)を開催。同部会は、2015年8月の国土形成計画(全国計画)において示された「対流促進型国土」の形成を目指すために設置されたもの。最終となる今回の会議では、3ヵ年にわたり議論してきた内容のとりまとめ(案)を発表した。

 「住み続けられる国土」を実現するためには、地域の担い手、生業を確保する必要があり、地域だけで取り組む従来の「内発的発展」だけでなく、地域の主体性を前提としつつ、外部アクターと適切に連携する「新しい内発的発展」による地域づくりを進める必要があるとした。

 施策の方向性としては、活動人口(経済活動とは異なる価値基準を含め、何らかの形で地域の社会・経済活動に関心をもって継続的に関わる者)が増加することにつながる「新たなコミュニティ」の創造が必要であると言及。そのために必要な要素を、「人」づくり、「場」づくり、「仕組み」づくりの3つの観点から整理した。

 「人」づくりでは、関係人口(移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域や地域の人々と多様に関わる者)と地域とのつながりの強化を支援する“つながりサポーター”の存在と、コミュニティデザイナーの育成が不可欠と提言。地域間の学び合いを通じた人材育成の取り組みも必要であるとした。「場」づくりについては、つながりを創るための空間(新たなコミュニティ創造空間)の形成、関係人口に着目した滞在施設の整備、小売店・学校・郵便局・福祉施設など小さな拠点の機能強化を施策の方向性に。「仕組みづくり」では、つながりサポート機能の強化を挙げ、委員から「つながるには信頼が大切。“共感”というキーワードも重視すべき」という意見が出た。シェアリングエコノミー活用の可能性についても検討する必要があるとした。

 また、将来に向けた検討課題として、(1)関係人口の拡大および活動人口への深化に向けた関係人口の類型化、定量化の検討、(2)事例収集等を通じたつながりサポート機能が有する仕組みの整理、(3)ライフスタイルのマルチ化およびシェアリングエコノミー拡大に係る課題の整理、(4)高齢化する大都市への応用を提示。(4)については、「高齢化に適した都市のモデルづくりも必要」という意見が委員から出された。

 委員からの意見・提案等を反映させた後、国土審議会計画推進部会に報告する。

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