不動産ニュース / 開発・分譲

2019/9/19

CLT採用ビル、ツーバイ材でコスト低減/三菱地所

CLTパネルにラグスクリューボルトを打ち込んだ状態。狭小地となるため、搬入に関してはパネルを小割(1.7m×4m弱)にすることで対応した

 三菱地所(株)は19日、CLTを構造材として採用したオフィスビル「(仮称)千代田区岩本町三丁目計画」の施工現場をマスコミに公開した。

 CLTとは、板の層を互いに直交するように積層接着した大判パネルのこと。同物件は、同社4件目のCLTプロジェクトで、初のCLT活用オフィスビルとなる。
 都営新宿線「岩本町」駅徒歩3分、東京メトロ日比谷線「秋葉原」駅徒歩3分に位置。敷地面積145.61平方メートル、延床面積645.05平方メートル、鉄骨造、木造(床CLT)地上8階建て。2020年3月末竣工の予定。

 今回のプロジェクトでは、より効率的なCLT活用の実現を推進。CLTを床材と壁に使用した高層賃貸マンション「PARK WOOD高森」(仙台市泉区、地上10階建て)での成果や検証結果を踏まえ、工事費の低減や工期短縮を検証している。

 CLTの使用材積や製品価格の低減を図るために、一般的なCLTラミナ(ひき板)より厚みのあるツーバイ材ラミナで構成したCLTを国内で初採用した。強軸にツーバイフォー(2×4)、弱軸にツーバイシックス(2×6)を用い、「PARK WOOD高森」で採用した5層7プライ(段)と同様の構造耐力を5層5プライで実現。ツーバイ材という一般的な資材をCLTに転用することでコストダウンも図れた。

 コンクリートとCLTの組み合わせ方を工夫することで、CLTの加工、現場での作業を大幅にカット。従来、鉄筋を配筋するための溝加工が必要だったところ、ラグスクリューボルトを用いることで接合部仕様を簡素化し、ローコスト化を実現した。

 一般的で安価な強化石こうボードと乾式耐火被覆を使用した、鉄骨梁の新たな耐火被覆仕様も導入。これまで課題となっていた1平方メートル当たり2万円という耐火被覆にかかるコストを大幅に低減するとともに、従来の鉄骨造と同様のプランの採用を可能にした。

 工期に関しては、鉄骨造の場合と同等の水準に達したため、今後は鉄骨造の9~8割程度までの短縮を目指し検証を進めていく。

ツーバイ材を用いて「PARK WOOD高森」で採用した5層7プライと同様の構造耐力を5層5プライで実現した

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CLT

木材板を積層接着した厚型のパネル。英語のCross Laminated Timberの略で、和訳は「直交集成板」である。 CLTは、板の層を繊維方向が直交するように交互に張り合わせたもので、高い寸法安定性、優れた断熱性があるほか、CLTを柱や梁とする構造は軽量で耐震強度を確保できるとされている。

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