(一社)不動産流通経営協会(FRK)は6日、2019年度の「不動産流通業に関する消費者動向調査」の結果を発表した。居住用不動産取得者の取得行動等を把握する目的で1991年から行なっており、今回で24回目。調査対象は、首都圏1都3県において18年4月1日~19年3月31日に購入した住宅の引き渡しを受けた世帯。有効回答数は955件。
住宅購入資金の調達について、「現金・預貯金等」は新築住宅購入者のうち64.8%(前年度比1.7ポイント減)が利用し、平均額は1,247万円(同20.6%減)だった。既存住宅購入者は利用率61.3%(同1.7ポイント増)・平均1,382万7,000円(同0.9%増)となった。「親からの贈与」については、新築は利用率20.6%(同2.3ポイント減)・平均860万7,000円(同0.7%増)、既存は利用率15.6%(同4.7ポイント増)・平均766万9,000円(同6.8%増)となった。
借入については、新築・既存共に「フラット35」の利用額が増加。新築は利用率10.4%(同0.4ポイント増)・平均4,576万6,000円(同14.6%増)、既存は利用率6.8%(同0.4%減)・平均3,355万円(同17.7%増)だった。
民間の住宅ローンを利用した場合の金利タイプは、「全期間固定型」が8.1%(同1.6ポイント減)、「固定金利期間選択型」が17.7%(同2.2ポイント低下)と低下。「変動金利型」が66.4%(同7.1ポイント増)と、約3分の2を占めた。金利タイプの選択理由は、金利タイプに関わらず「現在の金利が低いから」が最も多く、低金利に支えられている様子が分かる。また、変動金利を選択する理由としては「今後も金利はそれほど上昇しない」と、低金利の継続を予測する回答が多かった。
買い替えによる売却差益の発生率は37.8%(同4.5ポイント増)と、13年度以降で最高。一方で売却差損が発生したのは55.2%(同6.8ポイント減)となった。売却住宅の売却時築年数別に平均売却差額を算出すると、「5年以内」はプラス187万6,000円(同13.9%減)、「5年超10年以内」はプラス66万1,000円(前年度:マイナス342万8,000円)と築10年以内では売却差益が発生。それ以降は売却差損となっており、最も差損が大きいのは「20年超25年以内」の1,666万4,000円(同:マイナス2,022万7,000円)だった。
既存住宅の購入に際して、不動産会社による建物保証に伴う調査や既存住宅瑕疵保険の事前調査など、何らかの「建物検査」を実施したという回答は、46.0%(同1.3ポイント増)となった。既存戸建てについて62.6%(同8.3ポイント増)と6割超が何らかの検査を行なったと回答。既存マンションは39.8%(同0.5ポイント減)とわずかながら減少となった。