不動産ニュース / 政策・制度

2021/1/18

社整審、 「住生活基本計画」の見直し案示す

 国土交通省は18日、社会資本整備審議会住宅宅地分科会(分科会長:中井検裕氏(東京工業大学環境・社会理工学院長))の54回目となる会合をウェブ形式で開催。これまでの議論を踏まえた住生活基本計画見直し案を発表した。

 新たな住生活基本計画(全国計画)案の計画期間は、令和3~12年度。働き方改革やコロナ禍を契機とした多様な住まい方・新しい住まい方への関心の高まり、DXの進展、自然災害の頻発・激甚化、子育て世帯の減少と高齢者世帯の増加、空き家の増加といった住生活を巡る現状と課題を踏まえ、「社会環境の変化」「居住者・コミュニティ」「住宅ストック・産業」の3つの視点から、8つの目標を設定。施策を総合的に推進する。

 「社会環境の変化」の視点からは「新たな日常、DXの推進等」と「安全な住宅・住宅地の形成等」を目標と定め、職住一体・近接、在宅学習の環境整備や、ハザードマップの整備・周知による水災害リスク情報の空白地帯の解消等の施策を展開。「居住者・コミュニティ」の視点からは「子供を産み育てやすい住まい」「高齢者が安心して暮らせるコミュニティ等」「セーフティネット機能の整備」を目標に、若年世帯・子育て世帯の職住一体近接やテレワーク等のニーズに適応した住宅取得の推進、高齢者の健康管理や遠隔地からの見守り等のサービスの普及を盛り込んだ。「住宅ストック・産業」の視点では「住宅循環システムの構築等」「空き家の管理・除却・利活用」「住生活産業の発展」を目標に、安心R住宅制度や長期優良住宅制度の改善、長期優良住宅やZEHストックの拡充、管理不全空き家の除却等や特定空家等対策の強化、大工技能者等の担い手の確保・養成などに取り組む。

 施策の達成度合いを測る「成果指標」は、13項目を設定。新たに「居住支援協議会を設立した市区町村の人口カバー率(25%(令和2年)→50%(令和12年)」「住宅ストックのエネルギー消費量の削減率(平成25年度比)(3%(平成30年)→18%(令和12年)」「市区町村の取り組みにより除却等がなされた管理不全空き家数(9万物件(平成27年5月~令和2年3月)→20万物件(令和3~12年))」を設定したほか、「既存住宅流通量に占めるインスペクション結果等に基づく情報が消費者に提供される住宅の割合(15%(令和元年)→50%(令和12年)」など5つの指標を見直した。既存住宅流通およびリフォームの市場規模についても、従来の目標であった「20兆円」は「長期的目標」へと後退し、「12兆円(平成30年)→14兆円(令和12年)」へ見直す。内訳は、既存住宅流通6兆円、リフォーム市場8兆円。

 委員からは、新たな日常やDX進展に関する成果指標が設定されていない点や、子育て世帯向け住宅に特化した目標、リフォーム産業に関する目標がない点等について盛り込むべきといった意見が出た。同省は、これらも踏まえた見直し案について、近くパブリックコメントと都道府県意見聴取を実施。2月中開催する次回会合で最終的な計画案を議論。3月中の閣議決定を目指す。

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