不動産ニュース / 政策・制度

2021/1/25

売買取引のIT重説、4月から本格運用へ

 国土交通省は25日、「ITを活用した重要事項説明に係る社会実験に関する検証検討会」(座長:中川雅之氏(日本大学経済学部教授))の7回目となる会合を開催。個人を含む売買取引におけるIT重説について、4月にも本格運用を開始すると明らかにした。また、重要事項説明書等の電子化については、3月から売買取引でも社会実験を開始。賃貸取引も社会実験を継続するとした。

 個人を含む売買取引を対象としたIT重説については、2019年10月から社会実験が行なわれてきた。社会実験の登録事業者は854社。このうち110社で実績があり、2,289件のアンケートが回収された(宅建士)。購入目的は64%が「投資用」、36%が「居住用」。約9割が区分所有物件、1割弱が土地付き建物だった。機器等のトラブルについて約9割が「なかった」と回答。約1割の「トラブルがあった」の中身は「音声トラブルが発生した」(43.6%)、「画面が映らない」(32.6%)、「インターネットにつながらない」(18.6%)等で、トラブルの9割強(93.2%)は「解決した」との回答だった。説明の相手方へのアンケートでも、聞き取りやすさについて約9割が「十分聞き取れた」と回答、映像についても約9割が「確認しやすかった」と回答したほか、約7割(67.8%)が「今後も利用したい」と回答した。

 これらを踏まえ、十分な数のIT重説が実施され、重大なトラブルも確認できなかったことから、売買取引におけるIT重説についても本格運用へと移行するとした。本格運用にあたり、2月中に実施マニュアルを作成、宅建業法のガイドラインも改正する。

 会合では、賃貸書面電子化の社会実験の経過も報告された。同実験は、113社が参加し、2019年10月1日から3ヵ月間にわたり実施。期間中、17社が書面の電子化を実施。109件のアンケートを回収したが、15件のトラブルが発生。特にトラブルが見られた箇所について防止策を追補したガイドラインの改定を行なった上で、20年9月~21年3月までの予定で実験を継続している。20年12月末までの実施件数は118件で、継続実施中のトラブルは報告がないものの、実施件数が9件にとどまっていることから、4月以降も実験は継続する。また、売買取引についても、2月中に社会実験用のガイドラインを作成。3月から参加事業者を募集、実験を開始する。

 同省は、新型コロナウイルス感染症拡大を機に、非対面・電子書面での取引ニーズが飛躍的に拡大していることから、IT重説については、早急に本格運用へと移行。書面の電子化についても、賃貸・売買・媒介の契約締結時交付書面及び重要事項説明書等に係る宅建業法の関連規定を改正するため、一括法を含めて必要な法律案を今国会へ提出する予定。

この記事の用語

IT重説

不動産取引における重要事項説明を、インターネット等を活用して対面以外の方法で行なうこと、またはその方法を導入すること。 重要事項説明は、宅地建物取引士が対面で行ない、書面を交付しなければならないとされていた(宅地建物取引業法)。

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