(株)東京カンテイは31日、全国のマンション建て替え事例に関する調査結果を発表した。同社データベースの中から、区分所有建物から区分所有建物に建て替わったマンションのうち、9月末までに分譲された物件を抽出した(災害被害や構造上の問題で建て替えられた物件は除く)。
全国の建て替えマンション件数は282件。14年実施の調査と比べ、80件増加した。都県別では、東京都が178件と全体の63.1%を占め、前回調査から61件増加した。次いで、大阪府29件、神奈川県24件となった。
都内の行政区別に件数をみると、港区と渋谷区がそれぞれ29件で最も多く、ついで新宿区が13件、世田谷区が11件となった。一方で、多摩ニュータウン等1970年代に竣工し、現在建て替え適齢期にある団地の多い郊外エリアは建て替えが進んでいなかった。同社は、「マンション建て替えは、マンション価格が高水準で、保留床の売却によるコスト回収がしやすいエリアでなければ進まないという実態がある」と分析する。
建て替え前後の平均専有面積の変化を調べると、1990年代以降に建て替えた物件の全期間平均は従前58.4平方メートル・建て替え後69.11平方メートルとなり、拡大率は17.6%となった。増加率は90年代、2000年代、10年代、20年代と徐々に縮小する傾向があり、1990年代の建て替えでは拡大率41.1%に達していたのに対して、2020年台の建て替えの拡大率は10.8%にとどまっており、「狭すぎる住戸からの脱却」が建て替え理由になっていない実態がみてとれた。