シービーアールイー(株)(CBRE)は10月31日、2022年第3四半期の物流施設市場動向を発表した。
首都圏の大型マルチテナント型物流施設の空室率は、5.2%(前期比0.8ポイント上昇)となった。空室率が5%を超えるのは18年第3四半期以来。新規需要は14万8,000坪と第1四半期、第2四半期を上回ったが、新規供給が19万9,000坪とここ2年で過去最大だった第1四半期の26万坪に次ぐ水準であり、空室率は上昇した。
新規供給8棟のうち4棟は満床で竣工したが、4棟は空室を多く残して竣工に。募集賃料が高い物件が苦戦するなどリーシングの取り組みの違いも竣工時の稼働率に影響を与えた。1坪当たりの実質賃料は4,550円(同0.7%上昇)。賃料水準が比較的高いエリアでの竣工が多かったことが理由。一方、相対的な賃料水準の高さが敬遠される一部エリアでは賃料が弱含む傾向がみられた。
エリア別では、東京ベイエリアの空室率が10.7%(同2.3ポイント低下)・実質賃料は7,550円(同0.1%上昇)。外環道エリアは空室率4.3%(同2.4ポイント上昇)・実質賃料5,170円(同0.4%下落)。国道16号エリアは空室率5.8%(同1.0ポイント上昇)・実質賃料4,520円(同0.2%上昇)。圏央道エリアは空室率3.9%(同0.1ポイント低下)・実質賃料3,620円(同変動なし)となった。
近畿圏の空室率は1.7%(同0.4ポイント低下)。築浅の既存物件で空室率が大きく減少した物件が複数あったことが主な理由。今期の新規供給物件は1棟で、約8割稼働で竣工した。実質賃料は4,130円(同0.2%上昇)。大阪府の中心部や神戸市などの需給が逼迫した地域で、引き続き上昇基調となっている。
中部圏の空室率は11.0%(同1.8ポイント低下)。前期竣工を含む築浅物件で空室消化が大きく進んだことによる。一方、今期新規供給の2棟は空室を残して竣工しており、既存物件でも新たに空室が発生したものもある。実質賃料は3,590円(同変化なし)と、10四半期連続で横ばい。