(公財)日本賃貸住宅管理協会は29日、定例記者会見を開き、同協会会長の塩見紀昭氏が2023年度重点事業テーマについて説明した。
今年度は、(1)賃貸住宅管理業法順守のための会員サポート、(2)日管協標準版「賃貸住宅管理業務」の周知と管理報酬の研究、(3)会員拡大の推進、(4)賃貸住宅管理業のブランディング、(5)新資格「賃貸住宅メンテナンス主任者認定制度」の創設と普及を重点事業に掲げ、取り組みを推進していく。
(1)については、賃貸住宅管理業法施行後初めて実施された立入検査の結果を受け、業法のさらなる理解促進に向け、会員向けサポートを行なっていくとしている。「今回の立入検査で、当協会の会員を含む59社に対し是正指導が行なわれた。一部の賃貸住宅管理業者において法の各条項の理解不足が見られる結果となったが、立入検査が行なわれること自体は、信頼される業界になるための一つのステップであり、前向きに捉えている」(塩見氏)と話した。
(2)では、具体的な管理業務を87に項目化した「賃貸住宅管理業務」の周知を促進。また、「管理手数料ではなく、正当な業務を行ない正当に対価をいただけるというイメージの“報酬”とした上で、管理報酬のあり方を研究していきたい」(同氏)とした。
(3)では、今年度の目標を2,500社に設定(5月29日現在:2,304社)。同協会設立30周年となる25年までに3,000社を目指すとしている。(4)については、専門会社にプロモーションを依頼するなど、賃貸住宅管理業のブランディングを構築していく。
11月からスタートする(5)の新資格では、建物・設備の基礎知識、消防設備・外部改修工事の基礎知識、巡回点検業務のチェックポイント、法令点検とコンプライアンスなどを網羅したテキストを用意。いつでも何度でも視聴可能な講習動画も制作し、自由に選べる学習環境を提供する。「初年度は有資格者1,000名の輩出を目標とする」(同氏)。
また、賃貸住宅管理業法に係る登録・申請状況については、「200戸以上の会員約1,600社すべての登録を完了している」とした。また、「業務管理者は営業所または事務所ごとに1名以上の配置が義務付けられているが、業務管理者が負うべき役割は、賃貸住宅の維持保全、入居者からのクレーム対応、家賃・敷金・共益費の管理など多岐にわたる。各業務ごとに業務管理者を1名配置することで、さらなる管理業務の適正化を目指したい。そのために、業務管理者の要件となる賃貸不動産経営管理士資格の取得を奨励する」(同氏)と話した。