(株)不動産経済研究所は8日、首都圏1都3県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)における、新築分譲マンションの戸当たり価格および専有面積の中央値を集計し、平均値と比較した結果を発表した。 2016年11月、19年8月に続き3回目の調査。
マンションの価格推移を年間ベース(1~12月)で見ると、住戸価格は13年以降ほぼ一貫して上昇基調であり、前年比で下落したのは、16年の平均値(5,490万円)と18年の平均値(5,871万円)、20年の中央値(5,268万円)のみ。施工費や用地費の上昇、都心エリアの高級マンションやタワーマンションの積極供給、郊外部でも駅近など立地を厳選する傾向が強まったことが価格上昇の要因。ただし、平均値に比べ中央値は上昇がより緩やかとなっている。
13年には平均値が4,929万円、中央値が4,348万円と、その差は581万円に。15年には平均値が5,518万円、中央値が4,798万円と、差が720万円にまで拡大した。以降、16・18年には平均値と中央値の差が小さくなったものの、20年には平均値が6,083万円と6,000万円台に乗ると、中央値5,268万円との差は815万円に拡大。21年にはさらにその差が980万円にまで広がったものの、22年は平均値6,288万円、中央値が5,468万円と、その差は820万円と再び縮小した。
22年度(22年4月~23年3月)の戸当たり価格は、平均値が6,907万円と、前年度の6,360万円と比較して547万円・8.6%上昇しており、年度として過去最高高値を大幅に更新。対して中央値は5,432万円で、同(5,378万円)比で54万円・1.0%の上昇にとどまっており、平均値との差は982万円から1,475万円に急拡大している。今後も、都心やその周辺エリアで高額な大規模タワー案件の供給が数多く見込まれることから、価格は高値傾向が続く見込み。平均値と中央値の差も1,000万円以上を維持する可能性が高いと予測している。
専有面積の平均値と中央値の推移は、14年には平均値が71.16平方メートルと、中央値の71.11平方メートルより0.05平方メートル広くなったが、15~20年までは平均値の圧縮傾向が中央値以上に顕著に。20年にはその差は4.13平方メートルにまで広がった。しかし、21年には平均値が66.86平方メートルに拡大すると、中央値との差も2.58平方メートルに縮小。22年も平均値が66.12平方メートル、中央値が68.82平方メートルで、その差は2.70平方メートルと2平方メートル台の差を維持している。
年度ベースも傾向は同様で、最も平均値と中央値の差が大きくなったのは20年度。平均値66.20平方メートル、中央値70.07平方メートルで、その差は3.87平方メートルだった。以後、21年度が平均値66.75平方メートル、中央値69.00平方メートル、22年度が平均値66.47平方メートル、中央値68.70平方メートルと、いずれもその差は2平方メートル台。今後も、専有面積は平均値、中央値ともに価格抑制で縮小傾向は変わらないものの、「HARUMI FLAG」(東京都中央区)のタワー棟以外の供給が間もなく終了することから、再び平均値と中央値の差は拡大する可能性があるとしている。