国土交通省は1日、「住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等のあり方に関する検討会」の2回目の会合をオンライン併用で開いた。今回は各委員から所属団体・自治体の取り組みを発表した。
不動産業界団体からは、(公社)全国賃貸住宅経営者協会連合会(ちんたい協)の取り組みについて同協会前会長の三好 修氏が、(公財)日本賃貸住宅管理協会の取り組みについて同協会常務理事の荻野政男氏が説明した。
ちんたい協では、住宅確保要配慮者向けの空き室情報ポータルサイト「安心ちんたい検索サイト」において、被災者・高齢者・ひとり親家庭・生活保護受給者などに向けて物件情報を発信。また、家主や入居者を対象とした無料相談のコールセンターの取り組みでは、寄せられた転居相談の対象者のうち6割超を生活保護受給者が占めている現状について明らかにした。また、家主からは「高齢の入居者が連絡なしに施設に入居してしまい、残置物の処分をケアマネージャーに依頼しているが対処してくれない」「妻に先立たれた高齢男性の一人暮らし。訪問看護も受けているが、亡くなった後の残置物処理が心配」などの相談が寄せられており、「こうした退去時のトラブルが家主の受け入れの不安感となっている」(三好氏)とした。その対策として、退去時の支援強化・手続き等の簡略化が必要だと話した。
日管協は、外国人や高齢者への入居拒否解消への取り組みを紹介。いずれの場合においても、オーナーに「貸しにくい」と思わせるような課題を解決することが重要だとする。外国人対応については、言葉や生活習慣の違いをクリアするためのガイドブックやガイドDVDなどのツールを開発。高齢者・障がい者に対しては、家主や不動産事業者への理解を深めるためのガイドラインづくりに言及。家賃債務保証会社や、地域の居住支援協議会および居住支援法人と連携によって高齢者らが安心して生活するためのガイドラインの策定を求めた。
また荻野氏は、高齢者らの住宅確保だけでなく、生活全般のサポートまで統合的にサービスを提供するビジネスモデルの構築を目指すとした。
会合ではこのほか、神奈川県座間市、名古屋市、(一社)全国居住支援法人協議会に所属する各委員が、それぞれの自治体・団体の取り組みについて紹介。座間市では、居住支援NPOとの連携から得た居住支援施策についての気付きおよび各事業、名古屋市は入居支援に向けた関係者の情報得やすくする環境整備や、大家等に対する死後の経済的リスク等を軽減する損害保険の取り組みなどについて紹介した。居住支援法人連合会は、社会保障としての低廉な家賃、大家が貸しやすくなる支援がある住宅などが必要だと訴えた。
これらの取り組みに対して、委員からは、「『居住支援』という言葉の定義がバラバラ。まずはこの整理が必要ではないだろうか」「ただ住まいを整備するだけではなく、入居者に社会参加してもらう仕組みが必要ではないか」などといった意見が挙がった。
3回目の会合は、8月28日に行なわれる予定。