不動産ニュース / 調査・統計データ

2023/12/7

Aグレードビルの中でも空室率に格差/JLL

 ジョーンズ ラング ラサール(株)(JLL)は7日、「マーケットセミナー」を開催。東京のオフィスビル市場の最新動向と2024年の見通し等について解説した。

 2023年9月30日時点の東京都心5区に位置するAグレードオフィスビル(対象:210棟)は、空室率が4.7%(前四半期比0.1%低下)・一坪当たり賃料が3万3,585円(同1.0%下落)。エリア別では、「丸の内/大手町」は空室率1.8%(同0.3%低下)・同賃料4万1,576円(同0.9%下落)、「六本木/赤坂」は空室率7.3%(同1.1%低下)・同賃料3万3,517円(同1.0%下落)、「新宿/渋谷」は空室率3.1%(同0.9%低下)・同賃料2万8,103円(同0.8%下落)。全エリア、空室率は改善した。「Aグレードオフィスビル210棟のうち、約半数の96棟は満室稼働している。空室率5%以上は47棟、20%以上は11棟であり、それらが全体の空室率を押し上げている状況」(同社リサーチ事業部シニアディレクターの大東雄人氏)。

 24年は、空室率5%程度、一坪当たり賃料3万2,250円程度と予測。ただし、「21・22年のオフィスビル供給量は20万平方メートル以下とそれ以前に比べ小規模であった。そのため、最近では需給のバランスがややタイトになっており、今後はさらなる空室率低下、賃料の下落幅縮小も期待できる。最近では賃料上昇に成功した物件も少しずつ出ており、今後もそうした物件が増加すれば、賃料上昇のフェーズに突入する可能性も考えられなくはない」との見解も述べた。

 なお、グローバルな視点で見た日本の不動産の投資価値に関しても言及。23年の不動産投資額の推移は、世界的には前年比60%減少で着地すると見込まれる中、日本は同40%の上昇が期待されており、「日本の不動産市場は魅力的な投資対象とされている」(大東氏)。その理由については、「欧米などで金利が上昇する中、日本は金融緩和を継続している。また、政治的にも経済的にも安定感がある。リスクヘッジで複数の国に投資を行なうグローバルな投資家にとって、日本市場は外せないものとなっている」(大東氏)とした。

 一方、グローバル投資家がオフィスビルを評価するポイントとしては、「Flight-to-Quality(オフィスビルの質)」の評価ついては、「世界的には、グリーンビル(環境負荷軽減等に取り組んでいるビル)であるかが重視され、それが賃料にも反映されている」(大東氏)。今後も求められる市場であるためには、「アクセスの良さや機能性だけではなく、サステナビリティやウェルビーイングに配慮した物件を整備することが必要となる」とした。

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