(公社)ロングライフビル推進協会(BELCA)は20日、ロイヤルパークホテル(東京都中央区)で「BELCA賞」の表彰式を行なった。同賞は、ビルのロングライフ化に寄与することを目的として1991年に設けられた、既存建築物に対する表彰制度で、今回で33回目。
長期にわたる適切な維持保全や、優れた改修を施した既存建築物を「ロングライフ部門」と「ベストリフォーム部門」の2部門で表彰。今回受賞したのは、ロングライフ部門では「紀伊國屋ビルディング」(東京都新宿区、1964年竣工)、「旧山口萬吉邸(kudan house)」(東京都千代田区、1927年竣工)など4件、ベストリフォーム部門では「GOOD CYCLE BUILDING 001 淺沼組名古屋支店」(名古屋市中村区、1991年竣工、2021年改修)、「国立代々木競技場」(東京都渋谷区、1964年竣工、2020年改修)など6件。詳細は、同協会ホームページを参照。
同協会会長の蓮輪賢治氏((株)大林組代表取締役社長兼CEO)は「表彰件数は合計で325件となり、優秀な建築ストックのイメージが明確になってきた。本日表彰される建物が、優良な建築ストックの良き手本となるものと確信している」と挨拶。選考総評で、芝浦工業大学名誉教授で選考委員会委員長の三井所 清典氏((株)アルセッド建築研究所代表取締役)は「時代を区切って考えると、(建築物の)年齢と同時に、当時の社会状況や経済制度、文化的な意味が見えてくる。BELCA賞は、建築の文化の奥行きや深さ、あるいは都市の奥行きや深さを感じさせてくれるものとして社会に寄与していくと思うので、今後とも応募を続けていただきたい」と述べた。
また、受賞者を代表した(株)紀伊國屋書店代表取締役社長の藤則幸男氏は「日本にはたくさんのいい建築物があるということをこの会に来て感じることができた。ピカピカの新しいビルを造るだけではなく、こうした日本の伝統的な建築をしっかりと守って、先祖のDNAを守りながら後世につないでいくということが、BELCA賞の一つの神髄だ」と話した。